【時間単位別】残業代の計算方法
残業代は、どのように計算すればよいのでしょうか(※5)? ここでは、時間単位別の計算方法を解説します。
1時間単位(時給)
時給制の場合には、1時間あたりの時給が、そのまま残業代を計算するのに必要な1時間あたりの基礎賃金となります。
たとえば、時給が1,000円であれば、この1,000円が基礎賃金です。これを、上で解説した残業の種類別の割増率に当てはめて残業代を計算します。
1日単位(日給)
日給制の場合の1時間あたりの基礎賃金は、日給を1日あたりの労働時間で割ることで求めることができます。
たとえば、日給が9,000円であり、1日当たりの労働時間が6時間であれば、1,500円(=9,000円÷6時間)が基礎賃金です。 これを、残業の種類別の割増率に当てはめて残業代を計算します。
1か月単位(月給)
月給制の場合の1時間あたりの基礎賃金は、月給額を月平均所定労働時間で割ることで求めることができます。 この基礎賃金には、原則として次の手当は算入されません(※4、Q10)。
• 通勤手当
• 別居手当
• 子女教育手当
• 住宅手当
• 臨時に支払われた賃金
• 1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金
ただし、割増賃金の基礎となる賃金は、名称ではなく内容により判断されます。そのため、全員に一律に定額で支給されるようなものであれば、名称にかかわらず基礎賃金の計算対象に含まれます。
また、月平均所定労働時間は、次の式で算定します。
たとえば、月給額が36万円、月平均所定労働時間が160時間の場合の基礎賃金は、2,250円(=36万円÷160時間)です。 これに、残業の種類別の割増率を当てはめて残業代を計算します。
1年単位
年俸制の場合には、次の方法で基礎賃金を計算します。
2. これを1ヵ月の所定労働時間で割る
たとえば、年俸額が1,200万円であり、1ヵ月当たりの所定労働時間が200時間である場合の基礎賃金は、5,000円(=1,200万円÷12ヵ月÷200時間)となります。
なお、年俸制だからといって残業代を支払わなくてよいわけではないことに注意してください。 もっとも、年俸制が取られている人は役職者であることも多く、労働基準法上の管理監督者に該当する場合には、残業代の支払いは発生しません。
また、それ以外の場合であっても、年俸にはじめから割増賃金を含むことが契約上明らかで割増賃金相当部分が他の部分と区別でき、かつ、法定金額以上支払われている場合には、別途割増賃金を支払わなくても違反ではありません(※5)。
ただし、判断に迷う場合も多いかと思いますので、迷う場合には弁護士へ相談してください。