(写真はイメージです/PIXTA)

残業代は、種類ごとに計算方法が決まっています。また、残業とみなされる基準は、賃金の支払い形態や労働形態、役職の有無によって異なります。今回は、残業代の正しい計算方法について、Authense法律事務所の西尾公伸弁護士が解説します。

 

【役職別】残業時間の計算方法

管理職の場合、残業代はどのように考えればいいのでしょうか? 管理職と残業時間の考え方について解説します。

 

管理職

管理職が労働基準法上の「管理監督者」に該当する場合には、残業代を支払う必要はありません。 この「管理監督者」に該当するかどうかは、役職名のみで判断するのではなく、次の要素などから総合的に判断されることとされています。

 

• 経営者と一体的な立場で仕事をしているかどうか

• 出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けていないかどうか

• その地位にふさわしい待遇(給与など)がなされているかどうか

 

ただし、「管理監督者」に該当する場合に支払う必要がないのは、通常の残業代と休日手当のみです。 平日深夜労働や休日深夜労働における割増賃金分の支払いは免除されませんので、注意してください。

 

名ばかり管理職

名ばかり管理職とは、役職こそ「部長」や「店長」などであるものの、その勤務実態などからみて、労働基準法上の「管理監督者」にはあたらない管理職のことです。マクドナルドの店長が「名ばかり管理職」と認定され、会社側に残業代の支払いが命じられた事件を記憶している方も多いのではないでしょうか? 

 

このように、いくら「部長」や「店長」などの肩書を持っていたとしても、勤務実態などから労働基準法上の「管理監督者」だと認められなければ、残業代の支払いは免除されません。 名ばかり管理職と認定された場合には、他の従業員と同様に、残業代を支払う義務が生じます。

残業代請求権の時効について

従来、残業代請求権は2年で時効にかかるとされていました。 ただし、改正法が施行されており、2020年4月以降に発生した残業代請求権から時効は3年へと伸長されています。

 

従業員に残業代を請求されたら

従業員から残業代を請求されたら、未払い残業代の事実関係を確認すると同時に、早期に弁護士へ相談しましょう。

まとめ

残業代の支払いは、法律で定められた使用者の義務です。 支払い義務を知りつつ支払わないことはもってのほかですが、勘違いで支払っていなかったり一部の支払いが漏れていたりする場合には、早期に是正をしておきましょう。

 

未払い残業代の請求をされてから慌ててしまわないためにも、残業代についてきちんと理解し、社内の規程や体制を整備しておくことをおすすめします。

 

 

西尾 公伸

Authense法律事務所

弁護士

 

本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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