残業の種類によって残業代は異なる
残業には、さまざまな種類が存在します。 残業の種類によって支払うべき残業代の計算方法が異なりますので、整理しておきましょう。
■法内残業
会社の所定労働時間が、法定労働時間よりも短い場合もあるかと思います(※3、Q1)。
たとえば、会社の所定労働時間が1日6時間、週30時間であるような場合です。 この場合に、会社の所定労働時間は超えるものの、法定労働時間を超えない分の残業を「法内残業」といいます。法内残業については、法律上、賃金を割り増しして支払う義務はありません。 会社の社内規定に応じた残業代を支払うこととなります。
■平日時間外労働
「平日時間外労働」とは、平日に1日8時間を超えて従業員に労働させた残業時間です(※4、Q7)。平日時間外労働に対しては、通常の賃金に2割5分以上の賃金を上乗せして残業代を支払わなければなりません。
■平日深夜労働
「平日深夜労働」とは、平日の午後10時から午前5時までの間に従業員に労働をさせることです(※3、Q6)。平日深夜労働をさせた場合には、通常の賃金に2割5分以上の賃金を上乗せして賃金を支払わなければなりません。
平日時間外労働かつ平日深夜労働に該当する場合には、通常の賃金に5割(=2割5分+2割5分)以上を上乗せした残業代を支払わなければなりません。
■休日時間外労働
「休日時間外労働」とは、法定休日に労働させることです(※3、Q5) 。法定休日とは土日など曜日で決まるわけではなく、使用者が労働者に必ず与えなければならない休日(少なくとも毎週1日)のことを指します。
この休日時間外労働をさせた場合には、通常の賃金に3割5分以上を上乗せして残業代を支払わなければなりません。
■休日深夜労働
「休日深夜労働」とは、法定休日の午後10時から午前5時までの間に従業員に労働させることです。 この場合には、通常の賃金に2割5分以上の賃金を上乗せして賃金を支払わなければなりません。休日時間外労働かつ休日深夜労働に該当する場合には、通常の賃金に6割(=3割5分+2割5分)以上を上乗せした残業代を支払わなければなりません。
割増率の一覧
うえで解説をした残業の種類と賃金の割増率をまとめると、次のようになります。
なお、この割増率は法律で決まっているため、会社の都合で引き下げることはできません。
これに加え、時間外労働時間が1か月で60時間を超えた場合、会社は当該残業時間について、通常の賃金に5割以上の賃金を上乗せした割増賃金を支払わなければなりませんので、注意が必要です。