(※写真はイメージです/PIXTA)

ニューヨーク・タイムズによれば、2016年のアメリカ大統領選の際、ロシア政府とつながりがあるロシアの会社が、民主党のヒラリー・クリントン氏に不利な政治広告などを流していたといいます。私たちはどう対処すればいいのでしょうか。ジャーナリストの岡田豊氏が著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社、2022年2月刊)で解説します。

56.6%がメディアを「信頼していない」

■メディアを信頼するのは3人に1人、広がる不信感

 

情報をめぐる激動の時代の中で、メディアに対する信頼が揺らいでいます。インターネットの浸透で情報入手のルートが多様化し、SNSですべての個人が自由に情報を発信できるようになったことで、大手メディアの“寡占”状態が崩れていることも影響しています。私も含めたメディアの人間ひとりひとりが、あるべきジャーナリズムの使命を果たそうとしているかどうか、その自覚と覚悟も問われています。

 

「大手メディアは正しい事実を流しているのか。権力の監視という機能をきっちり果たしているのか」

 

こうした疑念も突き付けられています。

 

2019年7月、認定NPO法人「言論NPO」が実施した世論調査が公表されました。調査は5月から6月にかけて実施され、有効回答数は1000。「メディア」について「信頼している」と答えた人は32.3%。「信頼していない」は56.6%と大きく上回りました。過半数がメディアを信用せず、メディアを信じている人は3人に1人しかいないことが浮き彫りになりました。

 

国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(本部パリ)が2021年4月に発表した世界各国の報道自由度ランキングで、日本は前年から順位が1つ後退し、180カ国・地域のうち67位となりました。評価の理由では「伝統的な慣習や経済的な利益が妨げになり、記者が権力監視の役割を十分に果たしていない。菅政権も報道の自由をめぐる状況を改善していない」と厳しく指摘されました。

 

1位は5年連続でノルウェー。情報が統制されている中国は177位で変わらず。日本は、42位の韓国、43位の台湾を下回っています。国境なき記者団は、言論の自由を守ろうとするジャーナリストによる非政府組織です。つまり、日本は、言論の自由が十分に守られていないと評価されているのです。

 

アメリカも深刻です。調査機関「ピュー・リサーチセンター」が2019年2月19日から3月4日まで、6000人余りを対象にした調査データをまとめました。「国家にとって深刻な問題は何か」という質問に対して、「ニュースや情報のでっち上げ」と答えた人の割合が50%に上りました。

 

この割合は「凶悪犯罪」の49%、「気候変動」の46%、「不法移民」の38%、「テロ」の34%を上回っています。そして、「ニュースや情報のでっち上げ」の主体として最も多かった答えは「政治指導者とスタッフ」の57%。「ジャーナリスト」も36%に上りました。メディア不信は深刻な領域に入ったのかもしれません。

 

岡田 豊
ジャーナリスト

 

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本連載は、岡田豊氏の著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社、2022年2月刊)より一部を抜粋し、再編集したものです。

自考

自考

岡田 豊

プレジデント社

アメリカでの勤務を終えて帰国した時、著者は日本は実に息苦しい社会だと気付いたという。人をはかるモノサシ、価値観、基準の数があまりにも少ない。自殺する人があまりにも多い。笑っている人が少ない。他人を妬む。他人を排…

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