一番信頼できる情報源は家族と友人
■Q:「類友」って?
和田 理由の最後の「類友」って、さとなおさんがよく言われている「口コミ」のことですか?
さとなお はい、類は友を呼ぶ、の「類友」ですね。つまり同類のような友人ということです。口コミって昔からよく効くと言われてきているけど、それが、今ほど効く時代はないんです。ちゃんとデータでも出ています(下図)。一番信頼できる情報源は家族や友人なんです。コロナ禍を経て、ファンがついているお店や商品は強いって、みんなが実感したんじゃないですかね?
あれはファンが通ってくれる上に、周りに口コミしてくれたりするからなんです。情報や商品が過剰に多いこの時代、みんな「家族や友人」からのお勧めを頼りにしています。
和田 でも、なんで情報通でもない、目利きでもない家族や友人が信頼されるんですか?
さとなお それは、家族や友人は価値観が近い人だからです。価値観が近い家族や友人が愛用しているモノや大好きなコトは自分も気に入る可能性が高いですよね。和田さんもそうじゃないですか? 検索しても何を選んでいいかわからないし、広告も信用できない。そんな時代、価値観の近い友人(類友)が愛用しているものを勧められたりしたら、興味も湧くし買っちゃったりもしませんか?
和田 わかります! 価値観の近い人たちとはやっぱり使っているものも好きなものも
似ています。共感だらけです。
さとなお 人は同じ属性の相手に親近感を持ちやすいんですね。専門的にはホモフィリー(Homophily)と言ったりします。「類は友を呼ぶ」「似たもの同士」っていうことですね。つまり「類友」です。
情報も商品も過剰に多い今の時代、何を選んでいいか本当にわからないから、人は類友の選択を羅針盤にして商品などを選ぶんです。その上、その類友が何かのファンだったら、ファンからの言葉は熱意を伴うので、より多くの影響を与えますよね。
和田 確かに。私が友だちから熱烈にその商品の紹介をされたら、買っちゃうなぁ……。
さとなお そう。ファンこそが新しいお客さまを連れてきてくれるんですね。ただ、モヤモヤする方もいらっしゃって、「類友って人数少なすぎるんじゃない?」って疑問を伝えてくれるんだけど、 だいたい1人あたり150人くらいの類友がいると言われているんですね。
そうすると、たとえばある「モノ」のファンが10人いるとすると、その類友に伝わると10×150=1500人です。で、この1500人にも150人ずつの類友がいるんです。さすがに全員が類友に伝えないから、ではたった1割が類友に口コミするとして、1500人×10%×150+1500人=2万4000人に伝わります。
さらに同じように計算していくと38万4000人、614万4000人にまで(計算上は)及びます。たった10人のファンが母数なのに、意外とすごくないですか?
和田 38万人!? 類友から伝わっていくから、熱意も消えないですね。
さとなお その通りです。一番信頼されている情報源から濃く・熱く伝わっていくということです。じわじわ伝わっていくので時間はかかるかもしれないけど、とても大きな力になります。
株式会社ファンベースカンパニー創業者、取締役会長。大阪芸術大学客員教授。助けあいジャパン代表。花火師。
1961年東京都生まれ。電通入社後、コピーライター、CM プランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し、㈱ツナグ設立。19年、㈱ファンベースカンパニー設立。著書に『明日の広告』『明日のコミュニケーション』(アスキー新書)、『明日のプランニング』(講談社現代新書)、『ファンベース』(ちくま新書)など。最新刊は『ファンベースなひとたち ファンと共に歩んだ企業10の成功ストーリー』(津田匡保氏と共著、日経BP)。
和田 裕美
作家、株式会社HIROWA代表取締役
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