「売らない」という言葉がパワーワードになる
営業が変わる必要があるのは、何も少子高齢化だから、コロナ禍だからという理由に限ったことではありません。
消費者のマインドが変化しているので、売る側もどんどん変化する必要があるのです。まず、消費が下がったとはいえECサイトでの売上は上がっています。ここに買い方の変化があります。
私たち消費者はモノの評判、機能、金額を前もってネットで調べて買うことができます。
今、目の前に営業の人がいてプレゼンをしていても、手元のスマホでそれが信用できるものなのか、すぐに調べることもできる。
だからプレゼンがうまいことよりも人柄のほうが大事なのです。人柄が好かれたら「ネットでの評判はいまいちだけど、この人は信用できる。ネットの書き込みは大げさ。だけど、私はこの人を信じてみよう」となる可能性があるからです。
また商品の品質向上によって次に買い換えるまでの時間が長くなりました。環境的にはとてもいいことですが、もっと売りたい営業にとっては悩ましいことです。それに流行があっという間に変わってしまうようにもなりました。だから、1つの商品の販売数はどんどん減っていきます。
その上、シェアリングエコノミーの普及によって「持たない」人が増えたのです。こんなふうに変化している消費者サイドの気持ちに沿ってみると、営業も変化せざるを得ないということが見えてきます。
実際に、世界でも「売らないお店」がどんどん増えています。店舗では、体験のみして、その後気に入ったらネットで購入するという仕組みがあります。たとえば、
・AZLM CONNECTED CAFÉ(エイゼットエルエム・コネクテッド・カフェ)
・明日見世(あすみせ)
・b8ta Japan(ベータジャパン)など。
「売らない」という言葉は、これからどんどんパワーワードになっていくでしょう。
そんな時に、まだ意識も言葉も変化できていないと、じわじわと時代から取り残されていきます。