「難聴」も認知症のリスク要因の一つ
■「できている能力」を落とさないほうに注力しよう
目の悪くなった方の話を書きましたが、高齢になると難聴になる方も多くなります。70代で難聴が始まる方もいます。こちらのほうも心配です。
認知症のリスク要因には不活発な生活やうつ病などのほかに難聴も入っています。
難聴が認知症のリスクになる理由は、人との交流が減ってしまい閉じこもりがちの生活になるからです。耳が遠くなると、人との会話が面倒になってきます。一対一ならいいですが、たくさんの人との会話の中に入ると、話がわからないので孤独がつのっていきます。聞こえないことを苦にして外出しなくなるのです。
難聴は、高齢になると治ることが稀です。できたら、自分に合う補聴器を見つけてほしいと思います。
そこで、スマホをつかってコミュニケーションする術も覚えていきましょう。
聴覚障害を持つ知り合いがいますが、SNS(スマホやパソコンを使って人間関係を構築することのできるオンライン上のコミュニティサービス)の発達は聴覚障害の方々には実にすばらしいものとなりました。
メールではもどかしい場合でも、会話のようにコミュニケーションできるLINEやメッセージなどでやりとりします。これからの高齢者はSNSの使い方ぐらいは身につけられると思いますので、便利なものはどんどん利用しましょう。
また、よけいな雑音が聞こえないぶん、ほかの感覚が敏感になっていきます。
Gさんは、そういう気持ちを表現しようと俳句を始めました。新聞に投稿して入選したりしては喜び、励みになります。友人に句会に誘われましたが、当初は「聞こえづらいので」と断ったそうです。お節介な友人が「私が通訳するから」とGさんを引っ張っていきました。
参加してみると、隣に座った友人が大声で解説してくれます。それを気にする人もいません。高齢者が多いので、ほかにも「私も聞こえが悪くて」と言っている人もいるようです。
すべては案ずるより産むがやすしですね。図々しいかなんて気にしないで「もう少し大きな声で言ってください」とどこでも注文を出していいのです。
聴覚というひとつの機能が落ちても、あなたにはやれることがまだまだあります。人に迷惑をかけるからと引っ込んでいると、脳の機能まで落ちていきます。少々意思疎通に時間がかかっても、行動力さえ残っていれば脳の機能は保ち続けることができます。
和田 秀樹
和田秀樹こころと体のクリニック 院長
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