大好きな読書も文字がぼんやり…それでも読書を諦めなかった結果 (※写真はイメージです/PIXTA)

歳をとると、どんどんできなくなることが増えていきます。「できなくなった」と嘆くよりは、そこはあきらめて何かほかのできることを探したほうが人生を豊かにします。老人医療に詳しい精神科医の和田秀樹氏が著書『80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい』(廣済堂出版)で解説します。

目での読書から耳での読書へ

■できることはやり続け、できないことは仕方ないとあきらめる

 

私も60歳をこえて、まわりの友人たちがどんどん年をとっていくことを目の当たりにすることがあります。

 

先輩のAさんは、読書家でした。活字中毒です。銀行を退職してからも、本さえあれば俺は生きていけると言っていました。ところが目の病気になりました。まったく見えないわけではないのですが、本を読むのが難しい。拡大鏡で読んでいても疲れる。人づてに、Aさんが元気をなくしていると聞いたので、「うつ病にならなければよいが」と思っていました。

 

一年ぐらいたったときに、Aさんに親しい人からAさんの話を聞きました。とても元気にしているとのことです。本を読むことはあきらめたそうです。もっといい方法が見つかったとか。図書館で目の不自由な方のための音訳データを利用していて、「本を聞いて」いるそうです。散歩しながら本が聞けるので、毎日2万歩も歩いて、すっかり元気になっているということで私も安心しました。

 

そこで、視聴覚障害のある方の読書について調べてみました。

 

2019年(令和元年)6月28日に「読書バリアフリー法」というものが施行されていました。読書は娯楽や教育に欠かせないものですから、誰もが読書する環境を整備するという法律です。これによって、音訳された本のサービスも広がっているようです。

 

Aさんは、目での読書はあきらめましたが、趣味はあきらめきれないので音訳を選びました。それによって身体を動かしていても聞けるので、前より歩くこともできて(Aさんは読書家ですから、ひきこもりタイプだったのです)、また、視覚障害の人の集まりにも顔を出して情報をもらってくるようになりました。何かをあきらめたかわりに、新しいものを手にしたようです。

 

老化現象で、私たちはできないことが増えていきます。女性では目が悪くなると好きな手芸ができなくなった、男性ではゴルフコースを歩くのがつらくなったなどはよく聞くことです。

 

「できなくなった」と嘆くよりは、そこはあきらめて何かほかのできることを探してみませんか。あなたの中には、たくさんの可能性の種が残っています。人間は種をたくさん持っているのに、その一部分しか発芽させていないのです。

 

「70歳になって新しいことを始めるなんて」と思う方もいられるかもしれません。70歳になって、人に教えられるのは恥ずかしいと思う方もいます。

 

見栄やプライドは捨てて、子どもにかえった目で新しいことに驚く力を持ち続けるにはどうしたらいいか、私も気をつけて考えていきたいことです。

 

手芸がダメなら歌をうたうとか、いままでやってこなかったことに挑戦する。ゴルフコースに疲れたら、シニアの水泳教室で体力づくりをする。「だって私音痴ですよ」「俺、泳げないんだよ」と言われることがありますが、いいんです。誰かに見せるための習い事ではないのです。大きな声で歌ってみたいと思ったことはありませんか。あなたの中の種が芽を出したがっています。

 

とりあえず、ボケた演技で「物覚えが悪いから、何度も聞くからね」と言って、新しいことを始めてみるのもいいものです。

 

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    ルネクリニック東京院 院長

    1960年生まれ。
    東京大学医学部卒業。
    東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカカール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、「和田秀樹こころと体のクリニック」を開院。
    30年以上にわたって高齢者専門の精神科医として高齢者医療の現場に携わる。
    『自分が高齢になるということ』(新講社)、『年代別医学に正しい生き方 人生の未来予想図』(講談社)、『六十代と七十代 心と体の整え方』(バジリコ)、『「人生100年」老年格差』(詩想社)『70歳が老化の分かれ道』(詩想社)、『80歳の壁』(幻冬舎)など著書多数。

    著者紹介

    連載人生100年時代を豊かな心で健康に生き抜くための処方箋

    本連載は和田秀樹氏の著書『80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい』(廣済堂出版)より一部を抜粋し、再編集したものです。

    80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい

    80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい

    和田 秀樹

    廣済堂出版

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