認知症を起こす病気には、大きく分けると3つの原因があります。
まずは脳の神経細胞の異常が原因で起こる「変形性認知症」。これには、認知症でもっとも多い「①アルツハイマー型認知症」(アルツハイマー病=海馬や前頭葉の脳細胞が広範囲で委縮する)や、近年、注目されている「②レビー小体型認知症」(レビー小体病=大脳皮質に「レビー小体」と呼ばれるたんぱく質がたまる)、そして、ピック病とも呼ばれる「③前頭側頭型認知症」(前頭側頭葉変性症=思考や感情をコントロールする前頭葉と言葉の理解や記憶にかかわる側頭葉が委縮する)などがあります。
そして、2つめの原因は脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など、脳の血管障害による「④脳血管性認知症」です。
代表的な認知症は右の①から④の4つですが、それぞれ症状も特徴もちがいます。①アルツハイマー型認知症の初期の特徴はもの忘れ、そして、それまでやってきた料理や仕事などにだんだん支障が出てくることです。
いっぽう②レビー小体型認知症では、初期にはもの忘れがない人も少なくありません。また、見えないものが見える幻視や、つま先で小刻みに歩くパーキンソン病のような症状、睡眠障害などが出てくる人もいます。うつ病などの精神障害と間違えられることも少なくありません。
③前頭側頭型認知症では、穏やかだった人が怒りっぽくなるなど、性格が変わったようになる人が多いのが特徴です。また、同じ時間に同じ行為を毎日することにこだわるようになる人や、万引きなど社会の規範から外れた行動をしたり、言葉が出なくなる人もいます。若年認知症に多いのも特徴です。
④脳血管性認知症では、血栓ができる箇所によって記憶障害、性格の変化など、さまざまな変化があらわれます。大きな梗塞があったり、大量の出血をした場合は、からだの麻痺や失語などの症状(高次脳機能障害)を伴うこともあります。
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