(※写真はイメージです/PIXTA)

「まだ大丈夫と思いたい。でも、知っておけば準備できる。」高齢者認知症外来・訪問診療を長年行ってきた専門医・近藤靖子氏は、書籍『認知症のリアル 時をかけるおばあさんたち』のなかで「自分の家でできるだけ長く過ごすための秘訣」について解説しています。

独居で介護サービスを受け入れた暮らし

認知症高齢者が増えているということはよく話題になりますが、多くの人は、自分は大丈夫だろうと思っています。ところが、実は誰でも認知症になる可能性があります。

 

ある研究では、85歳以上の高齢者の3人に1人、そして90歳以上の2人に1人は認知症であるということが報告されました。(注*)

 

認知症になる最大のリスク要因は、高齢であるということ、すなわち長生きすればするほど認知症になる確率が高くなるということです。高齢化していく日本社会においては、認知症は、例えば癌のようにありふれた病気なのです。

 

癌の場合も、2人に1人の割合で、生涯の間に癌になる可能性があると言われています。

 

認知症とは、脳の働きが衰えて日常生活に支障をきたしている状態を言います。年を取ると誰でも脳の働きが落ちてきますが、自力で身の回りのことができていれば何とか生活できます。

 

高齢で、仕事もとっくに退職していれば、高度な脳の働きや、正確さまでは必要ありません。扉に鍵をかけたかどうか忘れてしまったらもう一度確認すればよいし、財布をどこに置いたかわからなくなったら片っ端から探せばよいわけです。

 

でも、人間らしく生きるために基本的なことがうまくできなくなってきたら、ほかの人からの介護サービスが必要になります。基本的なこととは、次の3つです。食べること、排泄すること、そして清潔を保つことです。

 

認知症が進んでくると、まず、計画的な買い物や調理などの複雑な家事ができなくなります。庭の手入れや掃除などもできなくなり、また、汚くても平気になってきます。

 

さらに認知症が中等度から高度に進行してくると、入浴をしなくなり、尿失禁や便失禁をきたし、その後始末もできなくなってきます。この段階では日常的な介護が必要になります。

 

ところが特に独居している高齢者では、介護を拒否して受け入れられない人が多く、家族も対応に苦慮します。

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『認知症のリアル 時をかけるおばあさんたち』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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