(※写真はイメージです/PIXTA)

認知症を怖がる人が多いのはマスコミの報道の仕方に問題があります。ニコニコと笑顔で好きなことをして毎日を穏やかに生活している認知症の高齢者はニュースになりません。老人医療に詳しい精神科医の和田秀樹氏が著書『80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい』(廣済堂出版)で解説します。

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ニュースにならないニコニコ認知症高齢者

■認知症高齢者も、不幸な人のほうが少ない

 

認知症について怖がる方が多いのは、マスコミの報道の仕方にも問題があると思います。センセーショナルで稀なできごとを報道するのが彼らの仕事ですから、仕方がないとは思いますが、ニコニコと笑顔で好きなことをして毎日を穏やかに生活している認知症の方がニュースにならないのは残念なことです。

 

認知症には、中核症状と周辺症状があります。

 

中核症状とは、記憶障害(最近のできごとを忘れる)、実行機能障害(段取りや計画がたてられない)、失語(物や人の名がわからなくなる)などといった記憶や知的能力の低下で、多かれ少なかれ、この病気では避けられないものです。

 

周辺症状には、幻覚、妄想、抑うつ、不安・焦燥などの心理的な症状と、徘徊や介護抵抗、暴力・暴言などの行動に出る症状があります。これはすべての認知症患者に起こるわけではありません。

 

ご家族や介護者が困るのは、周辺症状のほうでしょう。しかし、徘徊老人などという言葉もありますが、認知症の方で徘徊の症状が出るのは、全体の1割あるかないかです。

 

周辺症状が出る方には、もともとの性格やパーソナリティが関連するとも、生活上のストレスが原因ともいわれていますが、詳しいことはわかっていません。ただ、おだやかな接し方を続けていると、周辺症状が落ち着いてきたりします。ずっと周辺症状が出ているわけではありません。

 

また、認知症の中でも「前頭側頭型認知症」の場合は、前頭葉の萎縮が見られて感情のコントロールが難しくなり、怒りやすくなる症状も出ます。ただ、認知症全体の中で前頭側頭型認知症は、1.0%という報告が出ています。

 

圧倒的に多い認知症の型は、「アルツハイマー型認知症」が70%近く、つぎに「脳血管性認知症」が20%近くあります。脳血管性認知症とは、脳􄼷塞や脳出血によって脳細胞が死んでしまうために起こります。

 

認知症の種類に関しても、後半の第4章で詳しく解説します。いろいろな本も出ていますので、参考になさってもいいと思います。ここで明言したいのは、どんな種類のものでも認知症になったからといって、すぐに何もできない人になるわけではないということです。症状は徐々に進みます。

 

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本連載は和田秀樹氏の著書『80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい』(廣済堂出版)より一部を抜粋し、再編集したものです。

80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい

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