「イメージ」が生み出す力を引き出す
いかがですか。記憶能力にこれほどイメージが関係しているとは、意外だったのではありませんか? 頭の中の知識や情報は多いに越したことはありません。技術で伸ばせる記憶能力は、仕事において当然有利に働きます。
また、イメージの威力は、実は記憶能力だけにとどまりません。ビジネスに必要なスキルや能力には、さまざまなものがあります。しかし、それらを整理してまとめると、究極的には何が必要か見えてきます。
ビジネススキルの本質というものについて抽象度を上げて考えてみると、はっきりいうと「形にして生み出す」ということに尽きるのだと思います。この形というのは、企画書のようなアイデアということもあるでしょうし、プレゼンのようなパフォーマンスということもあるでしょう。形、つまり成果物を生み出すという過程においてイメージは非常に大きな役割を果たすことは、歴史も証明しています。
皆さんもご存知の過去の偉大な発明や発見の中には、イメージから生み出されたものが非常に多く存在します。例えば、古くはレオナルド・ダ・ヴィンチをはじめ、相対性理論を打ち立てたアインシュタイン、発明王のエジソンなどは、イメージを利用していたことで有名です。
また、イメージを使って新しいものを生み出した人は、科学分野に限りません。天才作曲家のモーツァルトは、頭の中で音をイメージ化することができたそうです。さらに、小説家のチャールズ・ディケンズは、イメージを頭の中に浮かべてからそれを文章に落とし込むのだと、自ら述べています。
これほどの発明・発見とはいかなくても、私たちもイメージの力により十分恩恵を受けることはできます。
それでは、恩恵を受けるためにはどのようにすればいいのでしょうか。
人は、無意識のうちに頭の中にイメージを浮かべています。しかし、能力の向上を目指すのであれば、さまざまな状況においてイメージ化を積極的に意識する必要があります。資料やマニュアルを読み込むときや業務の指示を受けるときも、意識して頭にイメージを浮かべながら読んだり、聞いたりします。
テキストを作るときも、いきなり文章を書かずに頭の中にイメージを浮かべてから書きます。さらに、人に話を伝えるときも、頭の中のイメージを見ながら話します。また、プレゼンなどが控えているときは、イメージトレーニングしてから本番に臨みます。
意識してイメージを活用していくと、自動的に皆さんの記憶能力は向上していくことになります。そして、記憶能力が向上すると、それに伴い、イメージ力も向上することになります。
このサイクルがうまく回り出すことで、皆さんの「生み出す力」は飛躍的にアップしていくことになるのです。
池田 義博
記憶力日本選手権大会最多優勝者(6回)
世界記憶力グランドマスター
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