(※写真はイメージです/PIXTA)

記憶にとって睡眠は欠かせないものです。睡眠中に脳内で整理された情報のみが記憶として定着するからです。記憶力日本選手権大会6回の最多優勝者の池田義博氏が著書『世界記憶力選手権グランドマスターの驚くほど簡単な記憶法』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

覚えるときになるべく多くの感覚を使う

■勉強に役立つQ&A

 

Q1:独学でテキストを使って学習をするときの効果的な方法はありますか

 

A1:独学の手段はいろいろありますが、教科書や本といったテキストなど、要するに、文字で書かれた媒体での学習がほとんどだと思います。

 

ここでは、テキストを読解して学習するための効果的な方法の1つを紹介します。単に読み進めるのではなく意識的にアプローチする方法です。それぞれのステップの頭文字をとってSQ3R法とよばれています。テキストの分量がある場合は、章や節ごとに区切って適用してください。手順は、以下のとおりです。

 

① Survey(調査):全体の概要を把握するためのステップ。章の見出しやまとめを流し読みする。これにより、主要な概念を把握し、内容を体系化しやすくなる。

 

② Question(質問):見出しを手掛かりに、内容に関連した問いを考える。これにより、内容への関心が高まり理解が深くなる。

 

③ Read(読み):すでに考えておいた問いを意識しながらテキストを読んでいく。

 

これにより、能動的に読むことができる。

 

④ Recite(復唱):その章や節を読み終えたあと、テキストを見ないで問いに対して自分なりの答えを出してみる。できなければ、もう一度テキストを読む。テキストを見ずに答えられたら合格。

 

⑤ Review(まとめ):もう一度読み、体系的に構造として記憶できているか確認する。体系的に要点がまとめられたら合格。

 

以上の①~⑤を頭に置き、実行することによって、脳にとって本来は苦手なはずのテキストからの学習の効率を上げることができます。それはつまり、理解や記憶が促進されるということです。全体の流れは決まっていますが、各ステップのバランスは学習の内容や目的によって調整するといいでしょう。

 

Q2:仕事に追われて勉強時間がなかなか確保できません

 

A2:音声コンテンツを利用するのはいかがでしょうか。

 

耳からの情報は、目から入った情報よりも記憶されやすいということがわかっています。これは、耳から入った音声を理解するためには、見ることよりも集中力が必要なことと、音声を脳の中でイメージに変換するという作業により印象が強まるという効果があるからです。

 

最近では、音声のコンテンツがたくさんあります。音声であれば通勤の移動中やちょっとした空き時間など、場所と時間を問わずに聞くことができます。速度も調整できるので、時間の節約もできるのではないでしょうか。

 

Q3:テクニック以外で記憶の効率を上げることはできますか

 

A3:覚えるときになるべく多くの感覚を使うと、その分、記憶能力をアップさせることができます。「見る」「声に出しそれを聞く」「手で書く」など、1つの感覚だけではなく、他の感覚も使って覚えるのが有効です。同時に、頭の中でイメージを浮かべるという感覚も利用すれば、さらに効果的です。

 

Q4:記憶の定着に最適な睡眠時間などはあるのでしょうか

 

A4:記憶にとって睡眠は欠かせない工程です。睡眠中に脳内で整理された情報のみが記憶として定着するからです。ハーバード大学の研究によると、新しい知識や技法を身に付けるためには、覚えたその日に6時間以上の睡眠は必要不可欠だと報告されています。

 

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本連載は池田義博氏の著書『世界記憶力選手権グランドマスターの 驚くほど簡単な記憶法』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

世界記憶力選手権グランドマスターの驚くほど簡単な記憶法

世界記憶力選手権グランドマスターの驚くほど簡単な記憶法

池田 義博

日本能率協会マネジメントセンター

在宅勤務など個人単位で働く機会が増え、従来よりも個人の成果に焦点があてられ、成果物の質を決める「思考力」が要求されています。まずは頭の中の知識・情報の量を増やし、これらを有機的に結び付け、価値のあるアイデアを生…

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