(※写真はイメージです/PIXTA)

記憶能力はトレーニングをすることで鍛えることができます。究極のビジネススキルの「成果を生み出す力」もトレーニングすることで能力を引き出し、伸ばすことができるといいます。記憶力日本選手権大会6回の最多優勝者の池田義博氏が著書『世界記憶力選手権グランドマスターの 驚くほど簡単な記憶法』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

究極のビジネススキルは「生み出す力」

突然ですが、次の5つの言葉のイメージをそれぞれ頭の中に浮かべてください。

 

メガネ
ペン
コーヒー
ノートパソコン
電球

 

いかがでしょう。あまり苦労せず、その言葉のイメージを頭の中に浮かべることができたのではないでしょうか。

 

絵がぼんやりしていたり、はっきり像を結ばなかったという方も、質感だったりニュアンスだったり、それらの概念のようなものは浮かんだはずです。はっきりとした映像だけでなく、概念や感覚といったものもすべてイメージです。今、これらの言葉についてイメージを浮かべることができた方は、間違いなく記憶能力を伸ばすことができます。

 

人間の脳というのは、イメージを優先して思考するようにできています。記憶に関しても同様です。文字や言葉というものは、人類が後天的に発明したものです。それを理解するためには、一度頭の中で処理をする必要があります。それに対して、イメージするという能力は、もともと脳が持っていた機能です。だから、脳は文字や文章をそのままの形で覚えることを、非常に苦手としています。

 

学生時代を思い出していただきたいのですが、社会や理科といった教科書の内容を覚えるのに、苦労しませんでしたか? そもそも、脳は文章の形で表された情報を覚えるのが苦手なので、苦労するのも当然なのです。先程、冒頭の言葉をイメージできた方は記憶能力を伸ばすことができるといったのは、つまり、対象をイメージ化することが、記憶能力をアップさせる大前提だからなのです。

 

私事ですが、記憶能力を競う大会に出場して六度の記憶能力日本一になれたのも、このイメージの力を利用した技術があったからです。ちなみに私は、ランダムに並んだ数字を覚える種目では、制限時間1時間で1000桁を越える数字を記憶した記録があります。

 

ほかにも、人の顔と名前を覚える種目では、15分で約60名のフルネームを覚えた記録があります。もちろん、これまでいってきたように、数字や顔、名前をそのままの状態で写真を映すように記憶しているわけではありません。すべてイメージに変換して頭に入れるということをしています。そして、思い出すときには、そのイメージから数字や名前に戻しているというわけです。

 

これは、何も私が特別ということではなくて、テクニックを使ってスポーツのようにトレーニングすることで、程度の差こそあれ「誰でもできる」ことです。何しろ、私自身40代半ばから始めたのですから。技術を使う、いわば記憶能力をトレーニングすることによって、大量の記憶が可能になったのです。このことから、記憶能力を伸ばしたかったら、イメージ力を伸ばすことが一番の近道といえます。

 

次ページ「イメージ」が生み出す力を引き出す

本連載は池田義博氏の著書『世界記憶力選手権グランドマスターの 驚くほど簡単な記憶法』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

世界記憶力選手権グランドマスターの驚くほど簡単な記憶法

世界記憶力選手権グランドマスターの驚くほど簡単な記憶法

池田 義博

日本能率協会マネジメントセンター

在宅勤務など個人単位で働く機会が増え、従来よりも個人の成果に焦点があてられ、成果物の質を決める「思考力」が要求されています。まずは頭の中の知識・情報の量を増やし、これらを有機的に結び付け、価値のあるアイデアを生…

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