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占領軍がやったことは日本の弱体化
■「法律は生き物だ」
『文藝春秋』の依頼による田中角栄へのインタビューは、当初の予定をはるかに超えて5時間に及んだ。角栄はその間、ずっと真摯な態度で私に向かってくれた。
角栄は42年間にわたる国会議員在任中に、なんと46本の議員立法を提案し、そのうち33本を成立させるという、どの政治家も及ばない前代未聞の業績を持っている。インタビューで、「なぜ法律の使い方がうまいのか」と問うたところ、角栄はエネルギッシュにこのように語った。
「法律というものは生き物ですよ。使い方によって変幻自在。法律を知らない人間にとっては面白くない一行、一句、一語一語が実は大変な意味を持っている。すごい力も持っている。生命も持っているんだ。壮大なドラマが法律の一行一句に込められているんだ」
「だから法律を活用するには、法律学者的な知識ではなく、その一行、その一語が生まれた背景のドラマ、葛藤、熾烈な戦いを知って、その一行、一語に込められた意味がわかっていることが必要です。そのような方向性で、法律や制度を見なくてはいけない」
では、「あなたはどうして、それら法律の背景にあるドラマや戦いを知っていたのですか」という私の質問に、角栄は次のように答えた。
「それは、僕が、法律の知識だけではなく、この国の法律がつくられ、つくり変えられた背後のドラマ、屈辱、熾烈な戦いを知っているからです。僕の初当選は昭和22年4月です。そこから23年、24年という期間は、占領軍の政策によって憲法以下すべてが定められていたときです。そういう時代を僕は立法府の議員としてすべて見てきたんです」
角栄は一語一語、力を込めて語った。そして、私の目をまっすぐに見て強い口調で言った。
「いまの日本の法律は、非常に特異です」
角栄の解説によると、占領軍がまずやったことは、日本の弱体化だったという。軍事的にも経済的にも、そして警察力を含めて法律を根本的に変えさせたのだと。
角栄は敗戦後に政界に出てきたので、そのすべてを知っている。「ひどいことをやる」と怒りを感じながらも、敗戦国としては受け入れざるを得なかったのだ。
ところが、アメリカとソ連の間で東西冷戦が激しくなると、今度は日本を強化するために方向性が大きく変わった。角栄は、その紆余曲折をすべて知っているので、どうすれば新たな立法が可能になるのかについて熟知していたというのである。 そして角栄は、自分が関わった33の議員立法について、歌を歌うようにそらんじてみせた。
田原 総一朗
ジャーナリスト
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