「葬儀費用は生前に準備」がベター
私は、これまでの日常業務を通じて、将来の相続や介護に関する家族間の対話の必要性を感じてきました。そのため、相続に備えて事前に家族で話し合う場を「家族会議」という言葉で説明しています。本文中で使用される「会議」「家族会議」という用語は、このことを指しています。
家族会議で葬儀について話し合う際、葬儀費用を誰が負担するかも重要な問題です。
残された家族の誰かが負担する場合は別ですが、相続財産(現金、預貯金)の一部を葬儀費用として使うと決めた場合は、相続財産の処分にあたりますし、分配額が減少するので各相続人にはそのことに同意してもらう必要があります。
また、亡くなった人の預貯金口座は凍結されるため、支払いの際、すぐに引き出せない可能性があります。
そのほか、葬儀費用を事前に準備する方法はいくつかあるので、紹介します。それぞれのメリット・デメリットを考えて選択しましょう。
①現金で保管する(いわゆるタンス預金)
すぐに使えますが、盗難のリスクがあり、また相続財産の一部となるため相続税の申告が必要な場合は、申告漏れに注意しましょう。
②葬儀費用を配偶者などに預ける、あるいは贈与しておく
すぐに使えますが、預かるときは贈与にあたらないよう注意が必要です。預かった側は自分の財産と明確に分けて保管し、①と同様に申告漏れには注意が必要です。
③少額短期保険を利用する
かけ捨て型の保険で、かけ金は月々数千円程度、1年満期で更新制です。いざというときは100万円程度の保険が下ります。なお、年齢が上がるとかけ金は増えます。
④冠婚葬祭互助会で積み立てる
月々の積立金を葬儀費用にあてることができます。ただし、互助会が破綻するリスク、途中解約をすると積立金が全額戻らないリスクがあります。いずれの方法を選択するにしても、家族には決定した内容を伝えましょう。
相続財産の分け方で“税金のかかり方”が変わる
相続税対策の特集記事や、それらを取り扱った本がたくさん出ています。みなさん相続税のことを気にされていますが、その前に本当に税対策が必要かどうかを知ることが大切です。
相続財産を洗い出し、把握した情報をもとに、税の無料相談や税理士相談などを利用してかかる税金を試算します。
相続税がかかる場合の注意点は、財産の分け方によって税金のかかり方が変わること。具体的な財産の分配案をもとに配偶者控除や小規模宅地の特例などが適用された、現実的な数字を知る必要があります。
それがわかってから、はじめて対策を検討すればよいのではないでしょうか。
一般的な対策としては、暦年課税の枠(年間110万円)や、相続時精算課税制度を利用して、子だけでなく孫の世代への贈与などを活用することが考えられます。また、生命保険の利用なども考えられます。
有効な方法は、個別のケースにより異なり、費用対効果の問題もあります。具体的な対策方法については個別の事情をしっかり伝えて、税理士やファイナンシャルプランナーといった専門家に、アドバイスを得るのが良いでしょう。
Q.うちは、相続税がかかりますか?
2021年の財務省のデータによると、相続税が課税された件数は、その年の死者数の9.3%です。つまり、およそ10人にひとりが相続税の対象になっているわけです。そのうち約半分は、課税価格が5,000万~1億円の部分に集中しており、この層の平均納税額は、259万円です。
都市部であれば土地や建物に預貯金を加えると、この層に入ってくるのではないでしょうか。
いずれにしても、財産を洗い出し、相続税がかかるだけの財産があるのかを把握しましょう。
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