(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍は歯列矯正をする絶好の機会だといいます。コロナ禍で部活が休止になるケースが多く、治療する時間があること。もう一つは矯正器具を装着してもマスクで口元を他人に見せずにすむということ。歯科医師の成田信一氏が著書『自分で考え、やり抜く子の育て方』(プレジデント社)で解説します。

なぜ「認定医」の診察を勧めるのか

■前歯が生え替わる7歳くらいの時に一度、矯正認定医に診てもらおう

 

皆さんは、矯正治療はいつから始めるのが適切だと思われますか。「小学生時代のなるべく早い時期」と思う方もいるかもしれませんね。結論から言いますと、装置を入れての矯正は、早ければ早いほど良いとか、「7~8歳くらいまでに済まさなければならない」ということはありません。

 

私がここでお伝えしたいのは、「前歯が生え替わる7歳くらいの時に一度、矯正認定医に診てもらうのがいい」ということです。

 

ケースにもよりますが、歯に関して最初にいろいろなことが起こってくるのは7歳くらい、だいたい小学校1年生頃で、前歯が生え替わる時期です。永久歯が生えてこないと、歯の状態がどうなっているかを判断できないため、その時期に1回、矯正認定医に診てもらうことをお勧めします。

 

ここでポイントとなるのは、日本矯正歯科学会の「認定医」に診てもらうことです。それまで虫歯の治療などで診てもらっていた一般の歯科医ではなく「認定医」を選びましょう。

 

成田信一著『自分で考え、やり抜く子の育て方』(プレジデント社)より。
成田信一著『自分で考え、やり抜く子の育て方』(プレジデント社)より。

「認定医」ではない歯科医に矯正の相談をすることは、呼吸器系がおかしいけれど、耳鼻科に行ったついでにちょっと診てもらおう、ということと同じです。それくらい一般の歯科医と「認定医」には違いがあります。日本矯正歯科学会のウェブサイトに「認定医」のリストがあるので、それを参考にしてください(https://www.jos.gr.jp/roster)。

 

この時点で、永久歯が変な方向に生えてしまい、下の歯と当たって歯が削れてしまうということが、結構な確率で起こります。ここで変な噛み合わせにならないように確認するのが一つのポイントです。

 

その後、問題が生じたら、それが起こった時点で治します。この時点での治療は、問題の程度にもよりますが、だいたい半年程度で済みます。実際その段階でうちの娘も治療しました。

 

それなら、前歯が生え替わる時期ではなく、最初から中学生になった頃に診てもらえばよいのでは、と思う人もいるかもしれませんが、矯正医の立場からいうと、それは避けてください。7歳くらいで1回診てもらうことが、その先の矯正治療をスムーズに進めるポイントとなるのです。

 

そして次の段階としては13歳から15歳の中学生くらいの頃に本格治療となるのですが、そこに至るまでに矯正しなくてはならないパターンもあります。

 

一つは、先にもお伝えした変なところに歯が出てきてしまうパターンです。これは「萌出異常」といいます。

 

次に、あごの位置に異常がある場合です。あごの位置に異常があると、極端な出っ歯や受け口になるケースもあるので、その場合は、あごのバランスを整えるなど治療をしたほうが良いでしょう。

 

ちなみにあごが成長する期間は、上あごの場合は、だいたい12歳ぐらいまでといわれています。上あごというのは、脳頭蓋にくっついていて、脳頭蓋の成長は12歳くらいで止まるので、上あごの成長もだいたいそれくらいで終わるのです。下あごは、全身の成長と同じような成長過程をたどるので、女子は中学くらいまで、男子は高校くらいまで成長します。

 

三つめは、「癖がある」場合で、爪を噛んだりとか、舌を出したり、舌を噛んだりという癖がある人です。舌に癖があると、骨や歯の位置が変わることがあり、歯並びが悪くなります。あごの位置に異常が出てくるのも、舌の癖が原因のこともあります。

 

四つめは「口で呼吸する」場合です。鼻で息ができないことで、上あごが狭くなることもあります。

 

五つめは、最近は少ないですが「虫歯」です。虫歯のリスクが高い場合は、中学に入る前に矯正したほうがいいでしょう。

 

成田 信一
自由が丘矯正歯科クリニック院長
歯学博士

 

 

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※本連載は成田信一氏の著書『自分で考え、やり抜く子の育て方』(プレジデント社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

自分で考え、やり抜く子の育て方

自分で考え、やり抜く子の育て方

成田 信一

プレジデント社

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