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不合格だった時の「親の対応」
ここまで、中高時代にすべき「三つのこと」を中心に、さまざまな事例を交えてお伝えしてきました。ここからは「では、親はいったい何をすればよいのか」、そして「してはいけないことは何か」に焦点を絞って、お伝えします。
■親の言動で子どもはこんなに変わってしまう
まず、「親がしてはいけないこと」について私の考えを述べたいと思いますが、それについて語るにあたり、私自身の忘れられない体験からご紹介したいと思います。
私は大学時代から通算10年くらい、予備校講師のアルバイトをしていました。生活費を稼ぐためです。大学にいる間、月に2日も休んだことがないくらい、熱心に働いていました。休みがなくてもあまり苦にならなかったのは、若くて体力があったからでしょうが、現在であれば問題になるかもしれませんね。
さて、予備校講師として、多くの高校生たちと接してきた私は、子どもたちが成長していくうえで必要不可欠な要素の一つは、「粘り強さ」だと感じるようになりました。
予備校では、成績が一番芳しくないクラスを担当していました。教えていたのは化学です。浪人のクラスも現役のクラスも教えていましたが、本当にできない子ばかりでした。化学の「か」の字も知らないくらいなので、難しいことは教えられません。そのため、復習を繰り返しやるしかありませんでした。
ただ、勉強というのは結局、反復練習の積み重ねです。要は、しっかり復習さえすれば、どんな子でも、必ずできるようになるのです。
繰り返し復習することが、記憶の定着には一番効果的だということは、皆さんも感覚的に納得がいくのではないかと思います。とりあえず、今やったことをすぐに復習して、さらに翌日復習して、1週間後に復習して、2カ月後に復習する。そうすれば、ほとんどの人は記憶することができます。あとは、それを実行するかどうか、続けられるかどうかだけの話なのです。
実際、私の生徒で、学力的にかなり下だった子が、「復習の繰り返し」によって、当初の成績では合格が難しかったであろう難関私大の合格を勝ち取ることができました。あきらめずに、粘り強く続けた結果にほかなりません。
ところが一方、途中で頑張ることをやめてしまう子もいます。Aくんもそうでした。呑み込みが早く、もう少し頑張ればある程度のレベルまでいける、と私は期待していました。しかしAくんは、ちょっと頑張って少しできるようになると、努力をやめてしまうのです。なぜなのか、私は不思議に思っていました。ある時その理由がわかり、衝撃を受けました。
「すごく頑張っても『もし結果が出なかったら』と考えると怖くなる。だからとことん頑張ろうという気になれない」
と言うのです。
実は、Aくんは中学受験で残念ながら志望校に落ちてしまい、公立校に通っていました。しかし、だからといって私は中学受験や公立校が悪いと言っているのではありません。
親の勧めで中学受験をして、本人はすごく頑張ったのに残念ながら不合格だった。その不合格だった時の「親の対応」が問題だったと思うのです。