(※写真はイメージです/PIXTA)

「日本で最先端の医療をしている東京の大学病院でも…」。開業医でありながら、現在もさまざまな研究を続けている理由は、ある地方の学生の落胆した言葉だったという。歯科医師の成田信一氏が著書『自分で考え、やり抜く子の育て方』(プレジデント社)で解説します。

「東京の大学病院でも…」ある学生の落胆

実は、私の医院では、月に一度日曜の診療もありますが、診療日は週3日程度とかなり限定しています。それには、こんな私の思いがあります。

 

■患者さんの期待を受け止めたい

 

大学病院での勤務を始めて2年目の頃、ある学生の治療を担当しました。その学生は九州地区の医院で矯正をしていたのですが、父親の仕事の関係か何かで、東京の私の勤務先の大学病院で治療をすることになったのです。

 

九州の医院ではヘッドギアをしていたそうですが、私が担当となり、もう一度治療方針を検討することになりました。

 

やはりヘッドギアをつけてやることに決まると、彼は九州のドクターがやっていた治療方針とほぼ変わらないことに驚いた様子で、「日本で最先端の医療をしている東京の大学病院でも、このかぶりものをしなきゃいけないのですか」と言ったのです。

 

その2年後くらいから、ヘッドギアをつけずに済む方法として、矯正用のアンカースクリューというものを研究し始めましたが、患者さんの期待は、そういうところにあると思ったのです。「大学病院なら、もっと進んでいるのではないか。最先端の治療を受けられるのではないか」という期待です。

 

そんなことが心に残っていて、私は開業医ではありますが、今でもさまざまな研究を続けています。研究機関の役割も兼ねる大学病院のドクターならまだしも、開業医でこれほど研究を重ねている歯科医師はほかにあまりいないと思います。「研究開発型の開業医」と自称しているほどです。

 

私は自分をそういう位置づけにしているので、自分の研究の成果を学会で毎年必ず発表し、また、他の学会参加者の研究発表に接することをかなり重視しています。そのため、診療日が限定的になってしまうのです。一方で、現場も大事だと思っているので、もちろん診療も大切にしています。

 

ちなみに現在、進めている研究に、口の中を左右半分に分けて、右側と左側で違う処置をする「スプリットマウス」があります。

 

今までは、ある治療を行った患者さんと行わなかった患者さんを比較するといった研究は一般的でしたが、同じ患者さんで左右別々の治療を行い、それを比べるという試みはあまりありませんでした。同じ人物だと左右の違いが比べやすく、それをやろうとしているわけです。

 

それには、20人くらいの患者さんにも協力してもらわなければならないので、その仕組みも考えているところです。この結果をまとめて論文にしようと思っていますが、こうしたことは、手間もかかりますし開業医は普通、行いません。

 

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    ※本連載は成田信一氏の著書『自分で考え、やり抜く子の育て方』(プレジデント社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

    自分で考え、やり抜く子の育て方

    自分で考え、やり抜く子の育て方

    成田 信一

    プレジデント社

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