市場の声を聞くと高く売れるチャンスがある
市場の声の重要さがわかる例を一つ紹介します。
現在、決済している案件なのですが、東海地方の老人ホームを売却しました。オーナーチェンジで、大手の管理会社が管理をしています。
この物件を2億円で売りに出したのですが、とある福祉法人さんが、なんと現金で、しかも売り出し価格よりも3000万円高い2億3000万円で三為業者を通じて購入しました。
もともと、この物件は残債が残っていたため、銀行からは「最低2億円で売って欲しい」と言われていました。
いろいろ調べてみたところ、市場に出る老人ホームの数は少なく、利回り15%以上となるとさらに希少価値があります。
その三為業者の担当者は、もともと商業物件に特化した不動産会社に勤めていたため、企業の顧客を多く抱えています。そして、どういったニーズがあるかもよく知っています。
その人は企業が買うような物件を頼まれて探し出し、自社で仕入れて三為で売るということをしているわけです。
不動産会社からすると売買仲介よりは、三為のほうが大きな利益を得やすいです。
今回のケースでは、2億円で売りに出している物件を、2億3000万円で買ってもらったので3000万円の差益ですが、他のケースではもっと利益を取れる可能性があります。
わかりやすく言うと、当社は売買仲介をしているのですが、その企業は顧客のニーズに合わせたものを探してきて三為で売る商売なので、「探してきたこと」に対するコンサルフィーが発生しているという考え方です。
顧客に寄り添ってニーズに合わせた物件を紹介することで、その企業は一般顧客を相手に仲介で売却するよりも高い利益を得ているのです。
過去を振り返れば、新築区分マンションを買っている高属性のサラリーマンに対して、三為業者が当時融資の出やすかった一棟マンションを売っていたことがあります。
私たち収益専門の業者からすると、お客様には紹介できないような割高な物件であっても、新築の区分マンションからすれば高利回りということで、たくさんの物件が売れていました。破綻した新築シェアハウス「かぼちゃの馬車」も同じような構造で売れていたのだと思います。
そうしたズレはいつの時代もあります。自分たちが高く買ってくれるニーズを見つけるのが難しくても、そうした顧客ルートを持つ不動産会社を上手に利用して、どうしたら高く売れるかを考えるわけです。すると、市場の相場を超える売却ができる可能性があります。
例えば、「相続対策で売却をしたい」「事業が行き詰まって資産整理をしたい」「任意売却したい」など理由があっても、相談するのは管理会社や、場合によっては税理士や弁護士かもしれません。