(※写真はイメージです/PIXTA)

ショッピングモールを「大きな賃貸スペースのある有形資産」と捉えるのをやめて、「デジタル世界と実世界の両方に切れ目なく広がる無限のプラットフォーム」がそこにあると考えてみよう。そこにショッピングモール復活の道が開けます。ダグ・スティーブンス氏が著書『小売の未来 新しい時代を生き残る10の「リテールタイプと消費者の問いかけ」』(プレジデント社)で解説します。

あなたにオススメのセミナー

    あなたにオススメのセミナー

      ポストパンデミックのコミュニティの中心に

      ■モールからプラットフォームへ

       

      まずは、ショッピングモールを「大きな賃貸スペースのある有形資産」と捉えるのをやめてみよう。「デジタル世界と実世界の両方に切れ目なく広がる無限のプラットフォーム」がそこにあると考えてみてはどうか。そのプラットフォームは、テナントも買い物客も設備保守点検業者も地域住民も自由にアクセスできる場である。

       

      このプラットフォームは、買い物客にとっては次のような特徴がある。

       

      ・何かニーズがあれば、顧客とモールの間で相談できる双方向のコミュニケーション窓口
      ・多様なチャネルの垣根を越えた購入方式(オンラインで商品をカートに入れて、そのまま実店舗へ移動して続きを購入など)


      ・上質なサービスや体験、特別イベント入場などを含む会員制プログラム
      ・ジャンルを問わないパーソナルショッパー(買い物同行・支援)サービス
      ・ライブイベントやストリーミング配信の拠点
      ・携帯端末ですみずみまで検索可能なスペース(ショップ、ブランド、商品など)
      ・暮らしのなかで、思い出に残るひとときになるような体験

       

      地元コミュニティにとっては、次のような特徴がある。

       

      ・地元の行事や活動・運動の支援と会場提供
      ・施設のサステナビリティや社会的責任に関わる取り組みについて、リアルタイムに情報発信

       

      テナントにとっては、次の特徴がある。

       

      ・テナントに役立つリアルタイムの市場関連情報やデータの提供
      ・物販、エンターテインメント、飲食はもちろん、斬新なテナント形式も含めた実験の場
      ・オンラインでもオフラインでも、手早く簡単に販売の場を設置できるプラグアンドプレイ型のプラットフォーム
      ・スタートアップの販売店向けの資金調達・インキュベーション機能を備えたプラットフォーム
      ・宅配、クリック&コレクト(オンライン注文後に自宅以外の場所で受け取るサービス)、海外発送などを支援するロジスティクスのプラットフォーム
      ・ライブ配信型、録画配信型など、魅力的なメディアづくりのための制作スペース

       

      ショッピングモールが単なるコンクリートの巨大な箱ではなく、ハイテクを駆使した自由度の高いプラットフォームと捉えれば、前記のすべてが可能になる。

       

      ■さまざまなリテールタイプが揃ったパラダイス

       

      ショッピングモールのポジショニングの考え方はすでに触れたが、優れたショッピングモールは、テナント構成でも同様の考え方を採用する。1つひとつのテナントに明確な目的と価値があるかどうかの確認が重要になる。よくある退屈なブランドが何となく並んでいるのではなく、いろいろなリテールタイプの小売業者が集まり、それぞれの小売りスペースが顧客の抱く問いかけに生き生きと確かな答えを出す――。

       

      そんなテナントのラインナップにすべきではないか。テナント選定に当たっては、先に解説したカルチャー、エンターテインメント、ノウハウ、商品の各領域で訴求力があり、独自の店内体験を生き生きと演出しているかどうかを重視する。

       

      結局のところ、世の中は何の代わり映えもしないショッピングモールをいくつもほしいとは思っていないからだ。求められているのは、独自性があって見掛け倒しではない集いの場であり、マーク・トロの言う人間のエネルギーが感じられる場だ。

       

      今や、手のひらの上に膨大な商品の海が広がっていて、ほしいものがあればタップ2つで手に入るような時代である。「ショッピングモール」とか「ショッピングセンター」という工業化時代の遺物にできることといえば、「ポストデジタル時代、ポストパンデミック時代のコミュニティの中心」としての新たな役割を確立する他に道はない。

       

      ダグ・スティーブンス
      小売コンサルタント

       

       

      ↓コチラも読まれています 

      ハーバード大学が運用で大成功!「オルタナティブ投資」は何が凄いのか

      富裕層向け「J-ARC」新築RC造マンションが高い資産価値を維持する理由

       業績絶好調のジャルコのJ.LENDINGに富裕層が注目する理由 

      コロナ禍で急拡大!トラックリース投資に経営者が注目する理由

        「給料」が高い企業300社ランキング…コロナ禍でも伸びた会社、沈んだ会社

      あなたにオススメのセミナー

        ※本連載は、ダグ・スティーブンス氏の著書『小売の未来 新しい時代を生き残る10の「リテールタイプと消費者の問いかけ」』(プレジデント社)より一部を抜粋・再編集したものです。

        小売の未来 新しい時代を生き残る10の「リテールタイプと消費者の問いかけ」

        小売の未来 新しい時代を生き残る10の「リテールタイプと消費者の問いかけ」

        ダグ・スティーブンス

        プレジデント社

        アフターコロナに生き残る店舗経営とは? 「アフターコロナ時代はますますアマゾンやアリババなどのメガ小売の独壇場となっていくだろう」 「その中で小売業者が生き残る方法は、消費者からの『10の問いかけ』に基づく『10の…

        人気記事ランキング

        • デイリー
        • 週間
        • 月間

        メルマガ会員登録者の
        ご案内

        メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

        メルマガ登録
        TOPへ