(※写真はイメージです/PIXTA)

イーロン・マスク氏がツイッターの筆頭株主に躍り出ました。爆弾発言男かつ「言論の自由」絶対主義者だと自称しますが、ツイッター改革は進むのでしょうか。インターネットの表現の自由はどう考えるべきでしょうか。渡瀬裕哉氏が著書『無駄(規制)をやめたらいいことだらけ 令和の大減税と規制緩和』(ワニブックス)で解説します。

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現在は誰の名誉でも簡単に毀損できる

2020年現在、世界でのSNS普及率は51%、ユーザー人口は39億6000万人です。ここまで広がってしまったSNSやプラットフォーム、無責任な空間というものに対して、どのように再度責任を求めていくのかという枠組みは、今、世界の国々で議論されているところなのです。

 

表現の自由とのバランスにおいて、こうした議論を規制と捉えるのか、もしくは責任と権利が一体化した形に戻ると捉えるのか、色々な考え方があります。ただひとつ確かなのは、対象となっているのが、世界的に広がった大きなビジネスだということです。GAFAと呼ばれるような、世界を席巻するほど大きくなったビジネスのあり方そのものを変えてしまうかも知れない議論が進んでいるのです。

 

筆者自身は、匿名のような形でみんなが情報発信をして、嘘でも何でも情報が流れるままにしておくよりは、情報を発信する人が権利と責任の両方を持つという当たり前のことを、もう一度取り戻していく方が大事だと考えています。

 

インターネットの発展と普及の歴史を振り返り、これからも続いていく過程にあると考えると、最終的には権利と責任の一体化した状態に戻っていくと考えています。なぜなら、現実は元々のリアルの世界に近づいていくものだからです。

 

リアルの世界からインターネットの世界に言論空間が移る過程で過渡的に広がったのがツイッターやフェイスブックなのであり、フェイクニュースが流れてもいいという捉え方は一時的な現象であって、誰もが当たり前にインターネットを介した生活が日常となれば、元々のリアルの世界に近い権利構造に落ち着いていくのでしょう。

 

現在、日本ではインターネットを介したいじめや誹謗中傷が社会問題となっています。人の集まる商店の中で拡声器を使って陰口を叫んでいたら、お店の人に追い出されるのは当たり前です。こうした負の現象には、一定の社会的な罰則が必要な面もあります。

 

現在は、誰の名誉でも簡単に毀損できてしまう環境です。訴訟になっても、名誉毀損や誹謗中傷の被害に対する慰謝料の相場は十万円から五十万円と言われており、実際には訴訟を起こしづらいのです。権利と責任の一体化によって、そうした金額の相場を引き上げることや、現代に合わせた罰則規定の整備も議論されていくことが望ましいのではないでしょうか。

 

渡瀬 裕哉
国際政治アナリスト
早稲田大学招聘研究員

 

 

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※本連載は渡瀬裕哉氏の著書『無駄(規制)をやめたらいいことだらけ 令和の大減税と規制緩和』(ワニブックス)から一部を抜粋し、再編集したものです。

無駄(規制)をやめたらいいことだらけ 令和の大減税と規制緩和

無駄(規制)をやめたらいいことだらけ 令和の大減税と規制緩和

渡瀬 裕哉

ワニブックス

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