(※写真はイメージです/PIXTA)

イーロン・マスク氏がツイッターの筆頭株主に躍り出ました。爆弾発言男かつ「言論の自由」絶対主義者だと自称しますが、ツイッター改革は進むのでしょうか。インターネットの表現の自由はどう考えるべきでしょうか。渡瀬裕哉氏が著書『無駄(規制)をやめたらいいことだらけ 令和の大減税と規制緩和』(ワニブックス)で解説します。

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中国共産党政府によるインターネット検閲

■統制? 放任? インターネットの表現の自由はを考える!

 

国や社会の自由度を表す指標としてポピュラーなものに、言論や表現の自由があります。日本の周辺でも中国や北朝鮮など、言論統制されていると一般によく知られている国々もあります。

 

2008年、言論や表現の自由と不可分の報道の自由のために活動するNGO国境なき記者団は、同じく国際的に活動する世界最大の人権NGOアムネスティ・インターナショナルとともに、「世界反サイバー検閲デー」を制定しました。インターネットの普及により、人々の発言の場はサイバー空間に広がっています。

 

中国や中東諸国では、こうしたインターネット上に流れる発言を検閲していることで知られています。「世界反サイバー検閲デー」は言論の統制に反対し、そうした検閲を行っている国や企業に対して、検閲中止の要請が行われる日です。

 

言論の自由は、人々が自由に主義主張を交わすことを守る考え方です。民主主義や自由主義の基本となっているのが言論の自由です。政府批判や政策議論、歴史などについて、発言や情報発信をしたことが原因で政府から罰せられてしまえば、民主主義は機能しなくなってしまいます。

 

「世界反サイバー検閲デー」は、政府による検閲によってプラットフォームの閉鎖や配信停止にすることで、コンテンツを見られなくするようなことは「インターネットの敵」だと掲げています。「インターネットの敵」に該当する国や企業のリストには、中国や北朝鮮、ロシア、イラン、シリア、サウジアラビア、インド、ベトナム、キューバなどの国々が挙げられています。

 

特に中国共産党政府が運用するインターネット検閲システム「グレート・ファイアウォール」は、アメリカを中心に批判的な報道で目にすることも多いものです。ファイアウォールというのは、情報セキュリティに関する技術です。本来は企業などの内部ネットワークを外部の不正アクセスから保護するためのもので、火災などから建物を防御する「防火壁」に由来します。

 

これに、かつて中国の王朝が築いたグレートウォール(万里の長城)をかけた通称からは、中国がインターネット上に巨大な壁を築き、望ましくない情報を遮断したり海外のウェブサイトを見られなくすることで、厳しい言論統制が敷かれていることが伺えます。

 

中国ではインターネット上の言論も監視されています。政府が公認したSNSでは、定期的にチェックが行われて望ましくない言葉は削除するように指導されます。たとえば「民主化」や「くまのプーさん」、「天安門事件」といった言葉がNGワードとなっているのも有名です。

 

システムによる情報遮断だけではなく、プラットフォームの運営企業が雇う監視員による人力での監視が行われていることも分かっています。2017年には、中国版ツイッターとして知られている「微博(ウェイボー)」がユーザーから監視員1000人を募集すると報道されました。

 

グレート・ファイアウォールは、中国共産党が1993年に計画した国家政策です。運用が始まったのは1999年、本格的に稼働したのが2003年です。中国は、世界中でインターネットが一般へ普及するのと歩調を合わせて、検閲システムの開発を行っていることが分かります。

 

中国共産党政府にとって、言論の自由があまりに広がると政治体制を脅かす可能性があることが開発理由のひとつですが、もうひとつ、巨大な国内市場を活かして微博や微信(ウィーチャット)などの国内IT企業を育てたいという産業保護政策的な意味合いもあります。

 

次ページプラットフォームの責任は問われない理由

※本連載は渡瀬裕哉氏の著書『無駄(規制)をやめたらいいことだらけ 令和の大減税と規制緩和』(ワニブックス)から一部を抜粋し、再編集したものです。

無駄(規制)をやめたらいいことだらけ 令和の大減税と規制緩和

無駄(規制)をやめたらいいことだらけ 令和の大減税と規制緩和

渡瀬 裕哉

ワニブックス

現在の日本の政治や経済のムードを変えていくにはどうしたらよいのでしょうか。 タックスペイヤー(納税者)やリスクを取って挑戦する人を大事にする政治を作っていくことが求められているといいいます。 本書には「世の中に…

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