(写真はイメージです/PIXTA)

賃貸経営において、ときに家賃滞納が発生してしまうときがあります。そもそもなぜ、家賃滞納は起きてしまうのでしょうか。不動産法務に詳しいAuthense法律事務所の森田雅也弁護士が、家賃滞納の理由と防止法、さらに万が一家賃滞納が発生してしまった時の対処法を解説します。

家賃滞納の長期化を防止する初期の対応方法

家賃滞納の長期化を防止するために、賃貸物件オーナーはまず次の対応を取りましょう。

 

入金状況をこまめにチェックする

家賃滞納への対応は、初動が非常に重要です。
そのため、支払い遅延が生じたらすぐに気づけるように、家賃の入金状況をこまめにチェックするようにしましょう。

遅延が生じたらすぐに口頭や文書で連絡をする

家賃の支払い遅延が生じたら、できるだけ速やかに口頭や文書で入居者へ連絡をします。
遅延理由がうっかりミスであった場合などには、すぐに支払ってくれるでしょう。この段階ですみやかに対応をすることで、入居者にとって緊張感が生じ、以後の支払い遅延や滞納を防ぐことへとつながります。

家賃滞納が改善されない場合の対応方法

口頭や文書で複数回連絡をしても家賃滞納が改善されない場合には、次の方法を検討しましょう。おおむね3ヶ月間の滞納が法的手段を取る目安となりますが、弁護士への相談などはこれに先行しても構いません。

 

弁護士へ相談する

賃貸物件オーナーなどからの口頭や文書での連絡によっても滞納が解消されない場合には、弁護士に相談してください。早期に弁護士に相談することで、この先の対応の選択肢が広がります。

 

内容証明郵便を送付する

内容証明郵便とは、いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを日本郵便株式会社が証明する制度です。

 

送った文書の記録が残るため、法的手段を取る際の証拠として活用できます。また、入居者の多くは内容証明郵便を受け取り慣れていませんので、内容証明郵便が届いた時点で心理的に負担を感じ、滞納分の家賃を支払ってくれる効果も期待できるでしょう。

 

内容証明郵便には、主に次の事項を記載します。

 

・賃貸借契約の特定:どの賃貸借契約についてのことであるのかを明記します。当事者の氏名の他、対象となっている物件や契約日などを記載しましょう。
・滞納している家賃の特定:何年何月分の家賃であるのかを明記します。滞納額の総額も記載しましょう。
・滞納分の家賃を指定の期日までに支払うべき旨:おおむね1週間程度先の日にちを期日とすることが一般的です。
・賃貸借契約を解除する旨:期日までに滞納分の家賃が支払われない場合には、賃貸借契約を解除する旨を記載します。

 

なお、内容証明郵便は賃貸不動産オーナー名義で差し出してもよいですが、弁護士名義で差し出すことによって、より法的手段への本気度を感じさせることができます。

 

また、内容証明郵便は内容の証拠が残るため、万が一賃貸物件オーナーにとって不利なことを書いてしまえば、入居者側からその穴をつつかれかねません。こういった理由から、内容証明を送付する前に弁護士へ相談した方がよいでしょう。

 

法的手段を取る

内容証明郵便を送付してもなお滞納が解消されない場合には、法的手段を講じます。法的手段の選択肢については、次で詳しく解説します。

 

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本記事はAuthense不動産法務のブログ・コラムを転載したものです。

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