日本では1990年代後半から25年間も慢性デフレが続いていますが、それが放置されたままになっています。経済成長をさせることが、政治家の最大の使命と言えます。経済を成長させられない政権は失格です。日本経済の分岐点に幾度も立ち会った経済記者が著書『「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由』(ワニブックスPLUS新書)で解説します。

【オンライン開催(LIVE配信)】希望日時で対応(平日のみ)
「日本一富裕層に詳しい税理士」による無料個別相談セミナー
富裕層の相続対策から税金対策の悩みを一挙解決!
詳しくはこちら>>>

実体経済に回らない金融資産に課税強化

■政府が動かないと……

 

「経済成長が格差に繫がる」という声がありますが、これは金融経済と実体経済の区別がつかないゆえの発言です。繰り返しますが、経済というものは金融経済と実体経済のふたつがあって、これが両輪になって動いているのです。

 

だから、一方的に金融経済のほうにお金を貯め込んで、そこでばかり投資収益が上がるのであれば、これほど不幸なことはないわけです。残念なことにいま、政府が結果的にそれを率先してやっている側面があるので、余計にそうなっています。

 

これは税制によって是正できる側面があります。例えばキャピタルゲイン課税(株式や不動産、有価証券の譲渡による所得〔=キャピタルゲイン〕への課税)があります。内部留保を貯め込んだままで、株主には高配当を払うけれども、雇用や設備投資に回さない企業が横行しています。実体経済に回らない金融資産に課税を強化することは、当然考えるべきです。

 

ところが資産課税に関しては、金融市場での投資行動に直接的な影響を及ぼすことが懸念されています。課税負担が大きくなれば、例えば株への投資が控えられるため暴落する……こういうことを恐れる声が非常に強い。

 

さらに資産課税を導入すると反発が強く、選挙に影響が出るだろうと言われています。そうすると与党、とくに自民党は導入をすごく嫌がります。議論すらなかなかできない。それでかえって実体経済のほうに課税をしてしまう。消費税がいちばんいい例です。

 

所得税と法人税の場合は「減税しろ」という声は時折出てきます。それで結局、法人税は減税して、消費税を上げるということで妥協してしまう。これはやはり政治の堕落です。こういうなんの経済効果もないどころか、悪影響しかないところに落ち着かせてしまうのですから。

 

実際に法人税の減税で何か効果はあったのでしょうか。野党も野党でそれを厳密に追求しないといけません。「文春ジャーナリズム」に乗っかってスキャンダルばかり追いかけていて、自分の足と頭で考えていない野党は存在意義がありません。

 

田村 秀男
産経新聞特別記者、集委員兼論説委員

 

 

↓コチラも読まれています 

ハーバード大学が運用で大成功!「オルタナティブ投資」は何が凄いのか

富裕層向け「J-ARC」新築RC造マンションが高い資産価値を維持する理由

 業績絶好調のジャルコのJ.LENDINGに富裕層が注目する理由 

コロナ禍で急拡大!トラックリース投資に経営者が注目する理由

  「給料」が高い企業300社ランキング…コロナ禍でも伸びた会社、沈んだ会社

本連載は田村秀男氏の著書『「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由』(ワニブックスPLUS新書)の一部を抜粋し、再編集したものです。

「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由

「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由

田村 秀男

ワニブックスPLUS新書

給料が増えないのも、「安いニッポン」に成り下がったのも、すべて経済成長を軽視したことが原因です。 物価が上がらない、そして給料も上がらないことにすっかり慣れきってしまった日本人。ところが、世界中の指導者が第一の…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧