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金融市場からお金を吸い上げて実体経済を回す
■中央銀行はなぜ必要?
実体経済と金融経済をうまく橋渡しするのが政治の大切な役割のひとつです。それには政府が国債を発行して金融市場からお金を吸い上げて、実体経済に回すしかありません。
そのために重要な役割を果たすのが発券銀行である中央銀行、日本銀行です。
新規発行国債の大半は通常、民間の金融機関が購入します。新規発行国債の金利(表面金利)はすでに市場で流通している国債の利回りを基準にして決まります。利回りとは、表面金利を流通市場で相場が変動する元本価格で割ったものです。
例えば、発行時に表面金利が1%、オリジナルな元本である額面100円の国債が市場で取引されて元本が200円に値上がった場合、利回りは0.5%ということになります。逆に50円に値下がりすると利回りは2%に跳ね上がります。
この利回りが基準となれば、政府は新規発行国債が額面で100円で従来通りだとしても、表面金利2%の国債でないと買い手がつかない恐れが生じます。政府は100億円借金すれば2億円の金利を払わなければならなくなります。それを避けるため日銀が国債流通市場で国債を大量に買い上げて国債相場を支えれば、政府は低コストで国債を発行できるのです。
現在のように国債利回りがマイナスになれば、政府はマイナス金利の国債を発行できます。それは買い手、即ち貸し手である民間金融機関が金利を売り手、借り手である政府に払うという倒錯現象ですね。
しかし、金融市場とはよくできています。マイナス金利国債を買った民間銀行などの投資家は、保有期間中に負担した金利分を十分吸収できるだけの高い元本価格で国債を売却すれば儲かるのです。このため、国債利回りが少なくてもマイナス金利を維持していかなければならないので、中央銀行の国債買い入れがとりわけ重要になるのです。
国債という政府の借金の返済は税収によって賄われるべきで、税収は増えないのに政府の借金が膨らむ一方だと、国債の信用が失われて、国債相場が暴落し、金利が高騰してとんでもないことになる、との見方があります。そうした財政均衡論はいわゆる財政均衡主義者、健全財政信奉者の考え方で、日銀が国債を買い上げるとしても、おのずと限度があると批判します。この限度とは日銀財務が不健全になるという観点に立っています。
現実に日銀は資産の部で国債のストックを大量に抱えています。日銀負債の部は国債買い上げのために発行した円資金で膨らむことになります。だから、日銀の財務状況が悪くなるからまずいというわけですが、日銀財務は国債の市場動向に左右されます。国債保有量が膨大だからといって、まずいことには必ずしもなりません。買い上げた国債が値上がりすれば日銀は収益を増やし、利益の増収分を国庫に納入することになるからです。実際に、日銀収益は国債相場の安定を背景に政府への納付金を増やしています。
いまはそうでも、いつか国債相場が暴落すれば、負債の日銀資金の金額は不変ですから、債務が資産を上回る、つまり債務超過になる恐れが生じます。国債が暴落するとき、金利は急騰します。国債金利が急騰するということは、要するに国債の買い手がほとんどなくなる、売り手だらけになるということです。
国債金利は住宅ローン金利や企業が銀行から借り入れる設備資金の金利の目安ですから、国債金利暴騰は家計や企業を直撃します。また国債を保有、運用している民間の銀行や生命保険会社は大きな損失を被ることになる。