(写真はイメージです/PIXTA)

マンション管理費や修繕積立金を滞納する人が増えています。無対策のまま放置すると、時効が成立し請求できなくなる場合も……。本記事では、不動産法務に詳しいAuthense法律事務所の森田雅也弁護士が、滞納者増加の背景やその予防策について解説します。

「滞納連鎖」の危険性も…滞納されると生じる問題

管理費や修繕積立金が滞納されると、どのような問題があるのでしょうか? 問題点について、具体的に解説していきましょう。

 

修繕計画等に狂いが生じる

 

管理費や修繕積立金を滞納されることによる最も大きな問題は、マンションの修繕計画等に狂いが生じてしまうことです。

 

一戸建ての住宅とは異なり、マンションはエントランスやエレベーター、外壁などといった共用部分を多く擁しています。この共用部分は、マンションの購入者(区分所有者)全員で管理することが必要です。

 

そのために必要となる費用が、管理費や修繕積立金という形で徴収されています。マンションの管理組合が代表してその管理費や修繕積立金を集め、外部業者に委託しつつ定期的な清掃や周期的な大規模修繕を行い、マンションを維持管理しているのです。

 

しかし、この原資となるはずの管理費や修繕積立金を滞納する人がいると、この計画に狂いが生じてしまいかねません。管理費等の滞納により、修繕等をするための費用が不足してしまうためです。

 

たった一人の滞納でも、積み重なれば全体の修繕計画などに支障をきたすことがあります。

 

人間関係の悪化

 

滞納が生じてしまうと、それが原因でマンション内の人間関係が悪化してしまうこともあります。なぜなら、滞納者が存在することで、区分所有者間に不公平感が生じてしまうためです。

 

前述のとおり、マンションは区分所有者全員が費用を出しあって維持修繕していくものです。それにも関わらず、一部の人が滞納をしてしまうと、修繕計画を実施できないといった形で他の区分所有者が迷惑を被ることになります。

 

また、管理組合としては、滞納者に対し管理費等を支払ってもらうよう働きかけていたとしても、滞納状態が続けば、管理組合への不信感が生じてしまうことにもなりかねません。

 

きちんと管理費等を支払っている区分所有者からすると、なぜ一部の人は管理費等を支払わずに済むのかといった不満を抱く結果となり、場合によっては、「払わない人がいるのなら私も払いたくない。」といった心理から、滞納の連鎖につながる危険性もあります。

 

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本記事はAuthense不動産法務のブログ・コラムを転載したものです。

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