(※写真はイメージです/PIXTA)

SWOT分析とは、自社の内部環境と外部環境の分析を通して、経営戦略や営業計画の立案を図るために作られたビジネスフレームワークです。SWOT分析をすることで、事業の戦略方針が明確になり、事業計画書に説得力が生まれます。コンサルタントの井口嘉則氏が著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

SWOT分析のO(機会)とT(脅威)を押さえる

次はSWOT分析のO(機会)とT(脅威)です。

 

(1)機会が浮かばない

 

SWOT分析で重要なSO戦略が出て来ない理由の一つに、O(機会)が浮かばないというのがあります。ビジネスチャンスというのは、実際にはあらゆるところに存在するですが、多くの場合、これを見過ごしていることが多いのです。なぜなら、大半の人が自分の業務に埋没していて、アンテナが低くなっていて、そうしたビジネスチャンスに気づきにくくなっているのです。

 

SWOT分析にきちんと取り組もうと思ったら、一度ふだんの自分の仕事から目を離し、ビジネスニュースを見たり、世の中全般を広く見渡してみたりすると良いでしょう。

 

(2)脅威がたくさん出てくる

 

機会が少ない一方で、脅威はたくさん出てくる傾向があります。これは弱みがたくさん出てくることと同じで、マイナス思考の人が多いので、あれやこれや外部のことを心配ばかりしていると、自分の身の回りは脅威だらけということになってしまうのです。

 

ですから、たくさん出てきた脅威の中で、本当に対策が必要なものだけに絞り込んで検討します。その際の絞り込み方は、脅威に相当する項目を出した上で、いつ頃どの程度の実害がありそうかということを具体的に検討してみることです。

 

(3)既存の取り組みを書き出して満足している

 

SWOT分析に取り組んでもらっていてよくあることが、すでに自社が取り組んでいる組み合わせを書いてお終いにしているケースです。この事業は、自社のこの強みをこの機会に生かしているということを確認して手が止まっているのです。

 

もちろん、SWOT分析が有効であることを、既存の取り組みに当てはめて確認することは悪くはないのですが、元々のSWOT分析の目的は、新しい戦略代替案を抽出することですから、既存のものの解釈で満足していてはいけません。

 

そこで新しく思いついた組み合わせを赤字で書くようにします。そしてこの赤字の組み合わせが多いほど、いいSWOT分析ができた証拠とするのです。

 

(4)組み合わせ方がよく分からない

 

SWOTの各要素を抽出した後に、それらをどのように組み合わせたらよいかよく分らないという質問を受けます。

 

新規事業の発案のところでお話したように、基本的に新しいアイデアというのは、何らかの既存の要素の新しい組み合わせであることが多いので、ここでは、その新しい組み合わせ方を検討する必要があります。

 

もし組み合わせ方が分らないという場合は、一旦アイデア発想法の最初のステップに戻って、取り組んでみると良いでしょう。多くの場合が、既存の枠組みに捕らわれすぎているということがあるので、それを外して考えてみる必要があるでしょう。

 

(5)弱みの補完・克服方法を思いつかない

 

SWOT分析なので、弱みも出して良いのですが、その補完方法や、克服方法が思い当たらないことがあります。その結果、人材を外部からヘッドハントするとか、技術やノウハウ持っている会社をM&Aする等の安易な手段に走りがちです。そうすると、そんなことできるのか?と質問が出て、質問に答えられずそこで終わってしまうのです。

 

ポイント
SWOT分析の落とし穴にはまらないように注意

 

井口 嘉則
株式会社ユニバーサル・ワイ・ネット 代表取締役
オフィス井口 代表

 

 

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※本連載は、井口嘉則氏の著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集したものです。

事業計画書の作り方100の法則

事業計画書の作り方100の法則

井口 嘉則

日本能率協会マネジメントセンター

経営環境が激変する最悪シナリオを乗り切る「事業計画書」の立て方・作り方とは? 「ビジョン・戦略立案フレームワーク」で何を/どの段階で行うかがわかる“これからの”実践教科書。 コロナ禍にあっても、事業計画の立…

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