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「不足額の調達手段」としておすすめ
クラウドファンディングとは、製品やサービスのアイデア、プロジェクトをインターネットを通じて公開し、不特定多数の賛同者から資金を集める方法です。
もともと、米国で生まれた手法ですが、近年、日本でも飲食店の開業や本の出版、町おこしなどのさまざまなプロジェクトにおいて活用されるようになっています。
創業時の資金調達にどの程度有効かというと、クラウドファンディングですべてをまかなおうとするのは現実的ではありません。しかし、ビジネスの種類によっては、まずは公庫からの創業融資を受けたうえで、不足額を調達する際の手段として活用するのは一つの手です。
資金を集めながらビジネス・サービスの認知度もアップ
クラウドファンディングには、いくつかのタイプがあります。
日本で最初に普及したのが「購入型」です。例えば、絵本の制作費を支援してくれた方に完成した絵本を提供したり、カフェの設立費用を募り、その特典としてコーヒー無料券を配布したりといった先行販売に近いスタイルで、ユニークな商品や魅力的なサービスを提供するスタイルです。支援者に「欲しい」と思ってもらえる特典を用意できるかどうかが成功のカギとなります。
「投資型」と呼ばれるものは、支援した事業の売上や利益に応じて、配当、あるいは商品やサービスを受け取ることができるタイプです。今までなかった新しいビジネスモデルを開発する会社への投資などに利用されることが多いです。そのほかにも事業者を通じて出資者を募る「融資型」、まだ上場していない会社の株を購入するタイプの「株式型」などがあります。
やり方はさまざまですが、クラウドファンディングには共通するメリット、デメリットがあります。
第一のメリットは「誰でも挑戦できること」。事業経験が浅く知名度がない個人や企業であっても、クラウドファンディングを運営する会社の審査が通れば誰でも利用が可能です。
第二に、「マーケティング効果が得られること」が挙げられます。支援者と開発段階からコミュニケーションを取ることができるため、細かい要望やニーズを拾い上げ、プロジェクトに反映させることも可能です。支援者の男女比や年齢層から、どのような人たちが興味をもってくれるのかなどの情報を得ることもできます。
それに関連し、第三には「PR効果」が得られることです。ウェブ上に商品やサービスの概要が掲載できるため、資金集めをしながらPRにもつながります。話題になると、SNSで拡散されたり、メディアで取り上げられたりするなど、さらなる知名度アップも期待できます。
一方、デメリットとしては「資金調達に時間がかかる可能性があること」や、「アイデアを公開することで真似されるリスク」「必ずしも成功するとはいえないこと」があります。さらに、もし資金調達に成功しても、「万が一、プロジェクトに失敗した際の支援者とのトラブルが発生するリスク」などが挙げられます。
■運営会社への手数料は「総支援額の10~20%」が目安
実際にクラウドファンディングで資金を集める際には、
●支援額とリターンが釣り合うか
●目標とする金額に根拠があるか
●プロジェクトの目的がはっきりしているか
などに留意しながら進める必要があります。また、これらのポイントをクリアにしたうえで、投稿プロジェクトの内容が、文章や写真、動画なども活用し、分かりやすくまとまっているかも肝要です。「いいね!」という評価を得られるような見せ方の工夫も大事です。
クラウドファンディングサイトの運営会社に払う手数料も事前にチェックしておきましょう。
手数料の目安としては総支援額の10~20%です。高いか安いかの感じ方はそれぞれですが、目安として広告費として売上の10~20%を使うと考えれば、そう高額ではないという見方もできます。通常の手数料に加えて、決済手数料がかかる会社もあります。
まだ新しい手法ではありますが、支援者の賛同を集めながら、資金を集めるとともに、ビジネスやサービスの認知度アップも実現し得る手法として覚えておきましょう。
田原 広一
株式会社SoLabo 代表取締役
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