※画像はイメージです/PIXTA

内縁関係の場合、民法上の相続権はありませんが、遺言などで遺産をもらった場合は相続税を納める必要があります。しかも、内縁関係の場合は不利なケースも。みていきましょう。※以降、「内縁の妻」とだけ表記します。内縁の夫が遺産をもらった場合も同様になります。

【関連記事】内縁の妻、絶句…夫の死去で母親が放った「ありえない一言」

内縁の妻が遺産をもらえるケース

民法では、内縁の妻に遺産を相続する権利は認められていません。どれほど長い期間生活を共にしていたとしても、法律上の婚姻関係がない限り遺産をもらうことはできません。

 

ただし、次のような場合は内縁の妻であっても遺産をもらうことができます。

 

●内縁の妻に相続させることが遺言に記載されていた

●死因贈与契約を結んでいた

●特別縁故者として相続財産分与を受ける

●内縁の妻が生命保険の受取人になっていた

(生命保険の保険金は厳密には遺産ではありませんが、ここでは遺産と同じ性質のものとしてご紹介します)

 

■遺言に記載があれば遺産をもらうことができる

亡くなった人が生前に遺言を作成して内縁の妻に遺産を相続させることを書いておけば、内縁の妻は遺産をもらうことができます。

 

夫の相続人から遺留分を請求される場合がある

遺留分とは、亡くなった人の戸籍上の配偶者や子ども、両親など一定範囲の相続人(兄弟姉妹は除く)が最低限もらうことができる遺産の割合のことです。

 

たとえば、遺言で内縁の妻が遺産を全部もらった場合は、亡くなった夫の戸籍上の妻や子どもは遺産をもらえません。このような状態を遺留分の侵害といい、侵害された遺留分は取り戻すことができます。

 

内縁の妻が遺産をもらった場合は、夫の相続人から遺留分を請求される可能性があるため注意が必要です。

 

■死因贈与でも遺産をもらうことができる

生前に死因贈与の契約を結んでおくと、内縁の妻は遺産をもらうことができます。死因贈与とは、贈与する人の死亡を条件に贈与をおこなう契約のことです。

 

ただし、死因贈与でもらった遺産も遺留分算定の対象になるため、夫の相続人から遺留分を請求される可能性があります。

 

■特別縁故者への相続財産分与でも遺産をもらうことができる

亡くなった人に法定相続人がいない場合や法定相続人が全員相続放棄したような場合では、特別縁故者への相続財産分与が認められます。特別縁故者は亡くなった人と生計を共にしていた人や亡くなった人の療養看護に努めた人などがあてはまり、内縁の妻も含まれます。

 

特別縁故者として相続財産の分与を受けるには、家庭裁判所に申し出て本当に法定相続人がいないか確認する手続きが必要です。

 

■生命保険の受取人になれば保険金をもらえる

内縁の妻が生命保険の受取人になれば、夫の死亡時に保険金を受け取ることができます。保険金は受取人固有の財産であり、原則として相続人と分け合う必要はなく遺留分算定の対象にもなりません。

 

ただし、内縁の妻が生命保険の受取人になることは難しいのが実情です。保険金に関するトラブルを防ぐため、保険会社では生命保険の受取人を戸籍上の配偶者と2親等以内の親族に限定していることが一般的です。次のような条件を満たしている場合について、例外的に内縁の妻を受取人にすることができます。

 

内縁の妻が生命保険の受取人になれる条件の例

●生命保険をかける内縁の夫に戸籍上の配偶者がいない

●一定期間同居して生計を共にしているなど婚姻に準じた関係であることが証明できる

 

簡単に保険を契約するために契約時は親族を受取人にして、遺言で受取人を内縁の妻に変更することもできます。ただし、この方法は契約上の受取人である親族の合意がなければトラブルを招きかねないので注意が必要です。

 

杉原 杏璃 氏登壇!
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
(入場無料)今すぐ申し込む>>

次ページ内縁の妻であっても相続税を納める必要がある

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧