失敗した人を叱責しても、問題の原因は特定できない
組織や集団のなかでしくじりや失敗があったときに、犯人探しをする人がいます。「誰だ、こんなことをしたのは!」と言って名乗り出てきた人を厳しく叱責する人です。
もちろん、それによって間違いを理解させて二度とミスをさせないようにするとか、周囲にも緊張感をもたせるという意味合いもあるのでしょうが、犯人探しと懲罰にこだわるのはむしろ逆効果です。それだけに終始していては、なぜ失敗したのかという原因を突き止めることができないからです。
失敗には必ず原因があります。大事なのはそれを突き止めて再び失敗しない環境をつくることです。しかし、失敗した人を叱責すれば、その人は口をつぐんでしまって原因を特定することができません。
失敗した当人を責めるよりも、まずは詳しく話を聞くほうが大事なのです。
病院でミスや間違いがあったときも、僕は、誰がやったかよりもなんでそうなったかが問題だと言って、詳しい経緯を報告してもらうようにしています。失敗した人がいたら、その日の体調がどうだったのか、シフトはどうなっていたのか、人員配置はどうだったのかなど、さまざまなことを聞き出して原因を考えます。
原因や背景が分かれば、それを修正していくことによってシステムは再構築され、より強い組織に変わっていきます。失敗というのは何らかの結果なのですから、どうしてそうなったのかを突き詰めれば組織も改善していけるのです。
ですから、警察が介入するような内容でない限り、魔女狩りをするようなことはやめたほうがいいです。犯人探しよりも、原因探しをするのです。
なかには、誠意や謝罪にこだわる人もいますが、そういう人に「では、何が原因で、次からどうしたらいいかという解決策は分かったんですか?」と聞くと、その肝心な部分は聞いていなかったりします。失敗した人に「ごめんなさい」と謝らせるだけでは次にはつながらないのです。
「失敗は、チーズの穴がすべて重なったときに起こる」という考え方があります。
英国の心理学者であるジェームズ・リーズン氏が提唱した「スイスチーズモデル」という考え方です。スイスチーズに空いているようなたくさんの穴をすべてのミスが通り抜けてしまったとき、大きな事故やトラブルへと発展するというものです※。
※『組織事故とレジリエンス―人間は事故を起こすのか、危機を救うのか』 ジェームズ・リーズン著、日科技連出版社
例えば、飛行機事故はたった一つのミスで起きるのはまれで、設計上のミスや整備のミス、ヒューマンエラーなどのさまざまな要因が重なったときに起こるといわれています。
そのため、複数の安全対策を何重にも組み合わせてリスクを軽減させています。何かのトラブルが発生したときも「当事者の疲労度はどのくらいだったか」「整備のチェック体制はどうだったか」など、さまざまな視点から原因を探すことが重要とされています。
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