逆境をはね返し「挑戦できる人」になる
しくじりから立ち上がる経験を重ねてきた人は、たとえ失敗をしても自分がそこから立ち上がれることを体感として知っています。ですから、何度もしくじりを経験してきた人は「挑戦できる人」になるのです。
一般的に失敗を恐れる人は多いですが、本当はまったく失敗を経験しないことのほうがずっと怖いのではないかと僕は思っています。
うまくいっている人は、保守的になる傾向が強いからです。
今のままでいい、この方法を変えたくないと思ってしまうのです。しかしそれではいつか大きく失敗する可能性が高くなります。周囲の状況や時代、顧客のニーズが変化しているのに、一人だけいつまでも同じやり方を通していたら成功は続きません。
人は何かを得ることよりも何かを失うことの恐怖が強いものです。損失回避の法則です。その恐怖心が強ければ、たとえ現状に満足していなくても「損をしたくない」という心理が働き、安全な道に踏みとどまって、挑戦もしないまま諦める人もいるかもしれません。
でも、損を避けようとして挑戦しないままチャンスを捨てているとしたら、それ自体がもはや「損」です。挑戦もしない、行動も起こさないというのは、自分から成功する機会を逃しているということです。それは非常にもったいないことです。
目の前の小さな失敗から逃げず、しっかり向き合って
HONDAの創業者、本田宗一郎氏も失敗続きの人生だったといいます。彼も数々の成功の裏にはそれ以上の数の失敗があったと言いますが、けっして諦めませんでした。本田氏はこう言っています。
「新しいことをやれば、必ず、しくじる。腹が立つ。だから、寝る時間、食う時間を削って、何度も何度もやる」(※1)
※1 『AERA』(1991年8月20日号)
彼はまず、エンジンに欠かせない「ピストンリング」という特殊な部品の製作に成功すると、次は自動車用のエンジン、その次はプロペラの削り機というように、次々と新しいことを手掛けていきました。一つ成功したらすぐに次のものに取り掛かります。その結果として、モーターバイクの大ヒットへとたどり着いたのです。
「私がやった仕事で本当に成功したものは、全体のわずか1%にすぎない。99%は失敗の連続であった。そして、その実を結んだ1%の成功が現在の私である」(※2)
※2 『本田宗一郎 夢を力に―私の履歴書』本田宗一郎著 日経ビジネス人文庫
失敗の悔しさこそが次のモチベーションと努力を生み出したのだと思います。
こうした著名人の失敗エピソードを見て「ここで取り上げる著名人や偉人の失敗は大きなものばかりで、この人たちの失敗に比べたら、自分はなんと小さなことで悩んでいるのか。情けない」と考える人もいるかもしれません。
そんなことはありません。失敗をどうとらえるかはその人次第だからです。失敗の規模が大きくても立ち上がる人もいれば、人から見たらささやかな失敗でも立ち上がれない人もいます。ダメージの深さは失敗の規模の大きさとは関係ありません。
もちろんもって生まれた資質やハングリー精神、過ごしてきた環境の影響は大きいと思います。しかしそのほかにも、それまでにしくじりをどれだけ経験してきたかも大きく影響しているのです。大事なことは、目の前の小さな失敗から逃げずしっかり向き合って何かを学ぼうとすることです。
一つひとつのしくじりと向き合って乗り越えていくうちに、失敗から立ち上がる力や逆境をはね返す力もきっと身についてくるはずです。
郭 樟吾
脳神経外科東横浜病院 副院長
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