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遺産相続では、相続人同士で話し合って誰がどの遺産を受け取るかを決めます。しかし、話し合いがまとまらず、家庭裁判所に持ち込まれるケースも少なくありません。家庭裁判所で行う「遺産分割調停」「遺産分割審判」についてみていきましょう。

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遺産分割調停の決着までの期間や回数は?

遺産分割の話し合いがまとまらず家庭裁判所に持ち込むときは、まず遺産分割調停を申し立てます。決着するまでの平均的な期間は1年弱、回数は約6回ですが、個別のケースによってばらつきがあります。

 

遺産分割調停とは

遺産分割調停は、調停委員の仲介によって当事者どうしでの合意を目指すものです。第三者が加わることで、冷静に話し合うことができます。

 

調停委員は裁判官ではなく、一般市民の中から、弁護士、医師、大学教授などの専門家や、会社役員や団体理事など地域に密着して活動してきた人が選ばれます。年齢層は50歳代、60歳代が中心です。遺産分割調停は親族間の問題であることから、男女1人ずつの調停委員が選ばれるなどの配慮が行われています。

 

何回かにわたる話し合いを経て合意ができたときは、裁判官が出席し、当事者と調停委員の全員で調停条項を確認して調停が成立します。後日、調停条項が記載された調停調書が送られ、遺産分割調停は終了します。

 

調停調書には判決と同様の効力があります。調停調書があれば、改めて遺産分割協議書を作成したり、印鑑証明書などを用意したりする必要はありません。調停条項に従わない人がいれば、強制執行をすることもできます。

 

遺産分割調停の期間と回数

家庭裁判所に調停を申し立てると、1~2ヵ月後に最初の調停期日が定められ、相手方に申立書と呼出状などが送られます。都合が合わない場合は期日を調整することもできます。

 

調停期日は1~2ヵ月に1回あり、1回あたり1~2時間の話し合いが行われます。申立人と相手方が交互に調停委員に事情を話します。一方の人が調停委員と話をしているときは、もう一方の人は別室で待機します。場合によっては、申立人と相手方が同時に調停委員と話をすることもあります。

 

遺産分割調停が決着するまでの審理期間は平均すると1年弱です。審理期間ごとの分布は、6ヵ月以内が3割強、6ヵ月~1年以内が3割強、1年以上が3割といった割合です。調停期日の回数は平均すると約6回ですが、11回以上かかる場合が1割強、21回以上かかる場合も約3%あります。

 

調停期日は平日の日中のみで、夜間や土曜日、日曜日、祝日には行われません。弁護士に依頼しても、やむを得ない事由がない限り本人の出席が必要です。時間を確保する必要があるだけでなく、遠方の相続人は交通費の負担も重くなります。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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