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失踪宣告は、行方不明の人や生死が不明の人に対して法律上死亡したとみなすための手続きです。相続では、行方不明の相続人に対して失踪宣告を申し立てることがあります。遺産分割協議は相続人が一人でも欠けると無効になるため、協議を成立させるためには行方不明の相続人を探し出さなければなりません。しかし相続税の申告には期限があるため、行方不明の相続人が見つからない場合には、失踪宣告を申し立てたり不在者財産管理人を立てたりして相続手続きを進めます。その具体的な方法や注意点をみていきましょう。

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失踪宣告とは?どんな時に必要?

失踪宣告とは、行方不明になっている人を法律上死亡したことにする手続きです。失踪は行方不明になった原因によって「普通失踪」と「危難失踪」に分けられていて、認定されるための条件が異なります。

 

普通失踪と危難失踪

普通失踪と危難失踪の違いは次のとおりです。

 

■普通失踪

行方不明になって7年間生死が明らかでない場合

 

■危難失踪

戦争、船舶の沈没、震災などの危難に遭遇して、その危難がやんだ後1年間生死が明らかでない場合

 

失踪が宣告されると、普通失踪では行方不明になってから7年経過したときに、危難失踪の場合はその危難がやんだときに死亡したとみなされます。

 

失踪宣告が必要になるとき

遺産分割協議は相続人全員で行うこととされていて、行方不明などで相続人が一人でも欠けているとその協議は無効になってしまいます。遺産分割協議を有効にするには、行方不明の相続人を見つけて協議に加えなければなりませんが、行方不明者は簡単には見つからないものです。

 

相続税の申告には期限があり、いつまでも行方不明者を探し続けるわけにはいきません。相続の手続きを先に進めるために失踪宣告が必要になります。

 

失踪宣告で行方不明者が死亡したとされる日が被相続人の死亡前であるか死亡後であるかによって、相続の権利は次のようになります。

 

■行方不明者が死亡したとされる日が被相続人の死亡前であるとき

行方不明者に子供等がいる場合は、子供等が行方不明者の代襲相続人として遺産分割協議に参加することになります。

 

行方不明者に子供等がいない場合は、行方不明者以外の相続人のみで遺産分割協議を行います。

 

*子供が死亡しており、その子供(行方不明者の孫)がいる場合、行方不明者と被相続人の続柄によっては、孫が代襲相続人となる場合があります

 

■行方不明者が死亡したとされる日が被相続人の死亡後であるとき

「相続時点で相続権をもったまま死亡した」という扱いになります。この場合は行方不明者の法定相続人が遺産分割協議に参加することになります。

 

■失踪宣告以外の方法

行方不明の相続人がいる場合の対応方法には、失踪宣告のほかに不在者財産管理人の選任があります。

 

失踪宣告が行方不明の人を法律上死亡したことにするのに対し、不在者財産管理人の選任は行方不明の人が生存していることを前提にした手続きです。不在者財産管理人は、行方不明の人が現れるか死亡が確認されるか、失踪宣告されるまでの間、その人に代わって財産を管理します。家庭裁判所の許可を得て遺産分割協議に加わることができます。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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