(※写真はイメージです/PIXTA)

これから開業する会社や個人事業主がまず当たるべき金融機関は、ズバリ「公庫」です。公庫に創業融資を申し込む際、提出書類の中でも審査結果に大きく影響してくるのが「創業計画書」ですが、事業プランを考え抜き、しっかりとした構想を立てた人ほど、すべてを書ききれないケースも出てくるでしょう。そこで今回は、融資の確度を上げ、融資額を少しでも多く引き出すためのテクニックとして「別紙資料」の作成方法を紹介します。

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融資の角度を上げ、少しでも多く引き出すには…

「創業計画書」のフォーマットの枠はそれほど大きくないため、事業プランを考え抜き、しっかりとした構想を立てた人ほど、すべてを書ききれないケースも出てくるでしょう。そこで、アピールポイントを上手に伝え、融資の確度を上げ、融資額を少しでも多く引き出すためのテクニックが別紙資料を作成することです。

 

就職試験の際に、履歴書とは別に経歴書や「なぜ御社を志望しているのか」といったレポートを提出したことがある方もいると思います。それと同じようなものと考えてください。とはいえ、自分本位の“ラブレター”を書いたのでは、功を奏するどころか、逆効果になることもあります。以下、別紙資料作成のポイントを見ていきましょう。

調査に基づく具体的な数値データ、エピソードがカギ

1. 経歴・プロフィール

いくつかの店舗で勤務経験があれば、それぞれの店での勤務年数だけでなく、何を習得したか、任された役職、そこで得た知見などを記載した経歴書を用意しましょう。スタートするビジネスに役立つ資格があれば、それも記載します。

 

2. 創業動機

私のお客さまで、経験ゼロ・自己資金ゼロの人が、ラーメン店を開業したいと、ラーメンへの愛、自分なりの研究成果をつづった別紙を提出したことで、300万円の融資につながった例もあります。一方的な思いを押し付けるだけではダメですが、例えば、「全国のラーメン店を食べ歩いて味の研究をした」など、“商売への本気度”が伝わるような具体的なエピソードがあれば評価につながるでしょう。

 

3. ターゲットの設定

オフィス街に近い立ち飲み居酒屋ならばサラリーマン、カフェならば20~40代女性、郊外のレストランならファミリー層などと、ターゲットを決めたら、集客のためにどのような工夫をしているのかを資料にまとめます。

 

「ファミリー層がメインなので、掘りごたつ式の座敷を用意します」「仕事帰りの会社員がちょい飲みできる立ち飲みスペースを用意します」など、具体的な方策を記載するとベターです。

 

4. 立地・通行量調査

最寄駅の乗降客数、駅からの立地、近隣に何があるかを記載した資料があると、アピールにつながります。オフィスワーカーがターゲットならば、近隣に位置する会社や工場、役所など、ファミリー層ならば学校やショッピングセンターなどを記すと、目指す集客の実現度を計る材料になります。

 

それと関連し、出店・開業予定地の通行量調査を実施し、まとめたデータも有効です。その際、想定としてターゲットとする層(20~40代女性、サラリーマンなど)別に数値を入れるのがコツです。

 

5. コロナ対策

当面はウィズコロナでの事業展開となるので、具体的な対策も重要視されます。飲食店であれば、ソーシャルディスタンスを確保するために席数を減らす必要があります。当局の要請で時短営業する場合でも採算を取るためのシミュレーションや、デリバリーとテイクアウトの対応、来店客に安心してもらうための対策などを記載するとよいでしょう。

 

6. 提供する商品、サービス、メニューの詳細

飲食店ならば、箇条書きでよいので、提供予定のメニューの一覧を付ける、あるいは携帯のアプリなど、仕組みやサービス内容が複雑な場合は、簡単に図式で解説するような資料を付けると、担当者のビジネスモデルへの理解も深まります。

 

7. 競合調査

近隣にどのような店があり、同業種の店がどの程度あるか。競合した際の優位性についても分析した資料を付けておくとよいでしょう。

 

8. 将来的なプロモーション展開の予定

店舗ビジネスの場合、新規客、リピート客、常連客の3層に向けたプロモーションが、売上を伸ばし続けるうえで欠かせません。

 

駅前のビラ配りから、雑誌などのメディア、オウンドメディアでのSEO、SNSを活用した情報拡散、リスティング広告、デジタルマーケティングなど、昨今は新しいメディアも続々と登場しています。一つだけでなく、いくつかのメディアを複合した形で、戦略的に考え、記載することが、将来性を感じさせる評価につながります。

 

9. 損益計算書

売上高、売上原価、経費項目ごとに、毎月どれくらいかかるのかを表でまとめ、どれだけ利益が出るのかを検討して、資料を作成してみましょう。

 

すべてを作成するのは時間的に厳しくても、どの資料も融資を受ける際にだけでなく、将来的にビジネスを成功させるうえでの必須のものとなります。面談に備え、頭を整理するうえでも、取り組むことをオススメします。

 

 

田原 広一

株式会社SoLabo 代表取締役

 

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※本連載は、田原広一氏の著書『賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

増補改訂版 独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣

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田原 広一

幻冬舎メディアコンサルティング

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