(※写真はイメージです/PIXTA)

これから開業する会社や個人事業主がまず当たるべき金融機関は、ズバリ「公庫」です。数ある金融機関の中でも借りやすく、申し込みから融資実行まで1ヵ月~1ヵ月半程度とスピーディ。担保・無保証で利用できる創業融資制度などもあります。また、公庫から借入して事業を成功させれば、その後、民間の金融機関からも借りやすくなるというメリットも見逃せません。ここでは資金調達アドバイザーの田原広一氏が、創業融資に受かりやすい「創業計画書」の書き方をレクチャーします。

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創業融資を受けられるか否か…創業計画書が分かれ目

融資の際に必要な提出書類のなかでも、審査結果に大きく影響してくるのが「創業計画書」です。

 

すでに創業しているケースと違って、この創業計画書が「事業を成功させ、しっかりと返済できる能力があるか否か」を判断する材料となります。

 

「中小企業経営力強化資金」を利用する場合は創業計画書と「事業計画書」を提出することになり、より専門的な戦略、数値の記載が求められます。中小企業経営力強化資金の利用については、認定支援機関のサポートを受けることが必須となりますので、ここでは「新創業融資制度」で提出する「創業計画書」に絞り、項目ごとに書き方のコツを見ていきましょう。

項目別:新創業融資制度の「創業計画書」の書き方

公庫のウェブサイトには業種ごとの記入例が掲載されているので検索してみましょう
【図表】創業計画書 公庫のウェブサイトには業種ごとの記入例が掲載されているので検索してみましょう

 

1. 創業の動機

事業に対する思い、事業のために重ねた経験、独立を決意した理由、達成したい目標をしっかりと伝えることがポイントです。達成したい目標が、絵空事ではなく、第三者から見ても実現可能であると思わせる説得力があり、熱意が感じられることも大事です。

 

2. 経営者の略歴等

勤めていた会社名や役職、勤続年数、業務内容などの職務履歴を作成します。

 

ここでのポイントは「創業の動機」と、これまでの略歴がリンクしていることです。創業する業務内容の経験がどの程度あるか、つまり経験値が重要な判断基準となります。「身につけた経験値を活かして開業する」というストーリー立てができれば問題ないでしょう。

 

例えば、飲食店ならば、店長の補佐をした経験がある、アルバイトリーダーとしてシフト作成をしていたなどの管理業務の経験値もアピール材料になります。

 

その他、取得した資格、特許・商標、コンピュータプログラムの著作権などの知的財産権があれば名称を記入します。

 

3. 取扱商品・サービス

販売する商品や提供するサービスについて明記します。単純に商品名やサービス概要を記すだけでなく、「商品やサービスの具体的な優位性、セールスポイント」「ターゲット層にどうアプローチするか」「競合・市場環境を踏まえて、ライバルとどう差をつけるのか」を明確にすることが大事です。

 

サービス内容と販売ターゲット、販売戦略との整合性もポイントです。女性や若い世代をターゲットとする飲食店ならば、「WebおよびSNS広告掲載による集客、ポイントカードの作成などでリピーター確保につなげる」など時流やメインに合わせた販売戦略を設定するようにしましょう。

 

今までに存在しない新しいビジネスモデルの場合、その仕組みがうまく伝わらないと融資のハードルが高くなります。その場合は商品やサービスの仕組みを図式化した別途資料などを用意するのがベターです。

 

4. 取引先・取引関係等

販売先、仕入先、外注先を記入します。「ターゲットとする顧客層とその割合」「取り扱う商品の仕入れ先が決まっているか」などが見られます。

 

例えば、販売先が一般個人の場合は「一般個人」でシェアは「100%」、回収・支払いの条件は「即金」となります。

 

対会社のビジネスの場合は、販売先、仕入先ともに大手で安定している企業が複数社あれば、評価につながります。リストを作って提出するのもいいでしょう。

 

ちなみにシェア率の高い販売先、仕入先、外注先の経営状況を確認されるケースもあります。「経営状況が悪い」、あるいは「1社しかない」と融資に影響する可能性があります。今後、販売先が増える予定なのであれば、別途、見込み顧客リストを作成しておきましょう。

 

5. 従業員

事業の見通しを立てたうえで、従業員を雇用する必要がある場合、雇用人数を明記します。

 

6. 借入状況

創業し、融資を申込む本人の借入状況を記入します。「記入しなければバレないのでは」と考える方もいますが、公庫では融資審査の際に、個人信用情報機関(CIC)を利用して申込者の借入状況や金融事故の有無を確認しています。ウソの記載は担当者の心証を悪くするだけです。初めから正直に記載しておきましょう。

 

また、借入があるからといって、必ずしもマイナスに働くわけではありません。カードローンやリボ払い、消費者金融からの借入は融資に影響する可能性がありますが、住宅ローンやカーローン、教育ローンなどは、遅延や延滞がなければ不利に働くケースはほぼありません。ただし、住宅ローンを組んだばかりだと、マイナスに働くこともあります。

 

また、法人で融資を受ける際にも、創業者本人の借金歴が審査の対象となります。個人事業主の場合も、ビジネス上の借入だけでなく、プライベート用の借金も明らかにする必要があります。信用情報が心配な人は、事前にCICなどで確認しておくようにしましょう。

 

7. 必要な資金と調達方法

開業にどれぐらいの資金が必要で、不足している資金の調達方法を書く欄があります。

 

左側は開業資金となる「設備資金」と「運転資金」の2項目の内訳、右側が「調達方法」です。公庫からの借入希望額=(設備資金+運転資金)-(自己資金+その他の借入)となり、左右の合計値が同じになります。設備資金は添付書類として見積書を提出します。運転資金は事業開始から3ヵ月程度(売上の3ヵ月分)が目安になります。この欄で重要なポイントは、「必要な事業資金に対して自己資金がどの程度あるか」「自己資金を計画的に貯めてきたことを説明できるか」です。公庫の融資では、過去半年分の通帳をチェックされますので、タンス預金があるという方は早めに預入し、通帳記帳もこまめにしておくようにしましょう。

 

8. 創業後の見通し

創業後の収支見込み、売上見込みなどを記入しますが、数字の根拠、つまり数字の欄の右側に書く計算のプロセスが重要になります。

 

売上高は、商品やサービスの単価(客単価)に対し、販売数や客数がどれぐらいあり、どの程度の売上を確保できるかを具体的な計算式で記入します。もちろん、原価や経費の計算についても、納得できる数字で示す必要があります。

 

また、借入を返済し、経営者の生活が成り立つのかもポイントです。自分と家族の生活費がどれぐらい必要かも把握しておきましょう。

 

ポイントは、第三者が見てもムリなく納得できる数字を出すことです。借入希望額もあまりに無謀な額を出すと、計画性がないと判断されかねません。自身のキャリア、自己資金額も踏まえ、売上見通しも含めて、手堅い数字でまとめるのが賢明と心得ましょう。

 

 

田原 広一

株式会社SoLabo 代表取締役

 

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    田原 広一

    幻冬舎メディアコンサルティング

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