(※写真はイメージです/PIXTA)

目標を達成できる人は、考え方や行動に特徴があります。しかも組織内に目標をブレークダウンする際には、目標を持たせる人たちに、その目標の意味付け、意義付けを本人に行わせる必要があります。著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します

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事業計画の目標は低すぎず、高すぎず

事業計画を立てる時の目標設定には頭を悩ませられます。高すぎると達成不可能な感じがしてきますし、低いと安心できますが、その程度でいいのかという疑問も湧いてきます。

 

目標設定の際には、以下の要素を考慮に入れると良いでしょう。

 

(1)利害関係者から求められる目標:ミニマムリクワイアメント

株主や出資者から求められる利益目標レベルというのがあります。最低限これはクリアしなければならないでしょう。

 

(2)現在の実力で達成可能な目標:実力値

現在持っているマンパワーや経営資源、ノウハウ等を考慮して達成可能な目標。これは達成可能なレベルですから、これより上を目指します。

 

(3)競争優位性を維持するための目標:競争優位性

市場の成長スピードよりも低い成長率を目標とした場合には、競合他社に対して相対的に劣後していきますから、時間が経つにつれ不利になります。ですから、通常は市場の成長性よりも少し上を狙います。

 

また、競合他社が強気に出て来たときは、様子見をし過ぎると手遅れになりかねないので、一定の対抗策を打ち出す必要があります。

 

(4)ビジョンとの整合性

経営ビジョンは定性目標、経営目標は定量目標というふうに言い換えられるように、経営ビジョンで掲げる将来の目指す姿と経営目標で掲げる定量目標とは、同じものを指している、すなわち整合性がとれている必要があります。

 

ただし長期ビジョンと中期経営目標という組み合わせの場合は、長期と中期という時間軸の差がありますから、同じものである必要はありません。

 

(5)戦略での達成可能性

戦略を先に立てるか、目標を先に立てるかにもよりますが、最終的には、戦略を遂行して仮にうまく行ったのであれば、その先の目標が達成できるようになっている必要があります。

 

もちろん、戦略が思ったような成果を上げられず、目標未達に終わることもありえますが、計画立案段階では、戦略が成功すれば達成できるような目標になっている必要があります。

 

(6)マネージャーや社員のモチベーション

戦略の実行部隊は、現場ですから、現場のマネージャーや社員がやる気を出さないと、戦略遂行がうまく進みません。

 

一般に、ふつうの人は自分で目標設定する場合は、1割アップぐらいが身の丈に合った目標です。それが、3割アップとなると、「そんなの無理だ!」となって、最初から諦めてしまいます。

 

一方、何か一つ目標達成ができると、自信が湧いてきて、「できる感」が増してきます。

 

上に立つ人間は、こうした人の気持ちのあや、人間心理を読んで目標の打ち出しをする必要があります。

 

歴史上大きなことを成し遂げてきたリーダーたちは、皆高い目標を掲げて組織を引っ張ってきました。当初は無謀に思える高い目標も一つ一つ小さな目標を達成して積み上げていくと、組織の勝ちグセが出て来て、いつの間にか達成できるようになります。

 

そうした、人の心のやる気や自信というものをうまく掴んで、より大きな目標達成ができるといいですね。

 

ポイント
目標設定はまずは高目に置いてみる

 

次ページ目標には社員それぞれに意味・意義を込める

※本連載は、井口嘉則氏の著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集したものです。

事業計画書の作り方100の法則

事業計画書の作り方100の法則

井口 嘉則

日本能率協会マネジメントセンター

経営環境が激変する最悪シナリオを乗り切る「事業計画書」の立て方・作り方とは? 「ビジョン・戦略立案フレームワーク」で何を/どの段階で行うかがわかる“これからの”実践教科書。 コロナ禍にあっても、事業計画の立…

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