目標には社員それぞれに意味・意義を込める
かつて業績不芳の会社に入って、テコ入れを指導した経験があります。その際に、組織の要であるマネージャーの人たちを集めて研修会を実施したのですが、面白い事に気づきました。
会社ですから、年間予算があり、各マネージャー及び担当グループに目標が割り当てられているのですが、個人別にみると目標達成度の高い人と低い人にはっきりと分れていました。皆が高い人と同レベルに目標達成すれば、会社の予算も達成できるのですが、達成度の低い人たちが足を引っ張っていたのです。
そうした中で達成度の低い年配のある人に、「あなたの今年度の目標はいくらですか?」と尋ねたのですが、いきなり「ありません」という返事が返ってきました。こちらは、せいぜい「覚えていません」とか、「△△万円ですが、達成できそうにありません」というような返事を期待していたのですが、まったく当てが外れたので面くらいました。
しかし実際には会社から個人別に目標が割り当てられていますから、そのことを確認すると、「ノルマのことですか?」と聞き返されました。その人は、会社からの目標をノルマと捉えていたのです。その人の中では、ノルマならあるが、目標ならないということだったのです。
一方で、達成率の高い若いマネージャーに同じように尋ねると、「去年の自分を超えることです!」という返事が返ってきました。ちゃんと自分としての目標を持っています。
このことから、会社や組織の予算をより小さな組織・グループに割り振っても、それを受け止める個人が目標とみなしていなければ、目標にはならないということに気が付きました。
ですから、組織内に目標をブレークダウンする際には、目標を持たせる人たちに、その目標の意味付け、意義付けを本人に行わせる必要があるということです。
日本の企業では、目標管理制度を取り入れている会社が多いです。目標管理制度は、英語でMBOといいます。Management By Objectivesの略ですが、これを提唱したのは経営学者のドラッカーです。
ただ、少々誤解されている面もあるので、トラッカーの考え方を押さえておきましょう。彼は、元々Management By Objectives and Self Controlと言っていて、これを直訳すると、目標と自己統制によるマネジメントということになります。
日本で広く行われているMBOは、前半の部分だけ切り出して、人事部が個人に自己啓発的なものも含め好き勝手な目標設定をさせて、それでやる気を出させましょう的な捉えられ方をしている面があります。
本来はそうした意味合いではなく、自分で目標設定をし、その達成のために自分をコントロールして頑張っていけるような経営の仕方をしましょうということになります。
ドラッカーは、それだけ目標設定の重要性を訴えているわけですが、そうした趣旨がうまく伝わらず、形式的に運用されている面があります。
先ほどの会社の例でいえば、達成度の高い人のケースが、ドラッカーのいうMBOを実践していたといえます。
このように目標設定というのは重要なものですから、会社・組織の目標と個人の目標とをうまくつなぐ仕組みを構築しておくことが重要になります。
目標はノルマでなく、本人による意味・意義を込めて
井口 嘉則
株式会社ユニバーサル・ワイ・ネット 代表取締役
オフィス井口 代表
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