(※写真はイメージです/PIXTA)

3C分析は基本的なマーケティン手法です。自社の状況と外部の環境について整理できるため、今後の戦略に大きく貢献します。自社が他社に勝る部分や、成功要因、武器を見つけることができるため、とるべき戦略や事業の方向性が見えてきます。著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

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3C分析は孫子の兵法に通じる

ビジネス戦略の歴史はテイラーの科学的管理法以来およそ100年ありますが、戦略というからには、遠い昔から人類が続けてきた戦争、いくさの戦い方にヒントを得ています。

 

戦略を表すStrategyという言葉は、ギリシャ語のstrategosから来ていますが、古代ギリシャ(紀元前400年頃)の軍人クセノポンが用いたと言われています。

 

戦争にはいろいろな戦い方がありますが、その戦争の戦い方を説いた本が兵法書です。

 

古今東西で最も有名な兵法書は、孫武が書いたと言われる孫子の『兵法』で2,500年ほど前に書かれ、日本にも伝わり、戦国武将の武田信玄は「風林火山」を掲げる等、これを手本にしていました。

 

ヨーロッパでは、19世紀にクラウゼヴィッツが『戦争論』を表し、その考え方が主流となりましたが、その考え方に基づいて第一次世界大戦を起こしたドイツ皇帝ウィルヘルム2世は、敗戦後亡命した先で、孫子の兵法の訳書を渡されて読んだところ、「この本を事前に読んでいたら、あの戦争は起こさなかった。」と述懐したと言われています。

 

孫子の兵法の方が優れていたことを物語っていますね。かのナポレオン・ボナパルトも孫子の兵法を読んでいたそうです。

 

孫子の兵法のエッセンスと言えば、「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」(謀攻篇)や「百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」(謀攻篇)等です。

 

ここで「彼」とは敵のことで、ビジネスで言えば、競合相手のことで、競合と自社をよくよく比べてから戦えば、負けるようなことはないと言っています。また、「百戦して…」のくだりは、むやみに戦えばいいものではなく、戦わずに相手を屈服させる方がいい作戦だと述べています。

 

これらをビジネスに応用して考えると、「彼を知り…」は、ビジネスの場合顧客を競合他社と奪い合うことになるので、競合他社のことだけでなく、市場や顧客のこともよく分かっている必要があるということになります。

 

これをビジネス戦略では、3C分析といいます。

 

(1)Customer(市場・顧客)

3C分析はCで語呂合わせをしているので、市場や顧客のことをCustomerとしています。

 

通常は、市場の成長性や発展段階、収益性、セグメント構成、顧客の特徴、顧客ニーズとその変化等について情報収集・分析します。具体的な考え方と方法は、STP分析や顧客ニーズについて述べた項を参考にしてください。

 

(2)Competitor(競合他社)

競合他社とその特徴、競合他社の強み・弱み、戦略の方向性等について情報収集・分析します。競合他社分析については、項を改めて解説します。

 

(3)Company(自社)

自社のことをCで語呂合わせをするために、Companyとしています。自社については、自社経営資源分析で触れた部分だけでなく、競合他社と対比する形で自社のマーケティング要素について分析する必要があります。

 

ポイント
3C分析はビジネス戦略立案の基本

 

次ページ自社のマーケティング要素の把握を

※本連載は、井口嘉則氏の著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集したものです。

事業計画書の作り方100の法則

事業計画書の作り方100の法則

井口 嘉則

日本能率協会マネジメントセンター

経営環境が激変する最悪シナリオを乗り切る「事業計画書」の立て方・作り方とは? 「ビジョン・戦略立案フレームワーク」で何を/どの段階で行うかがわかる“これからの”実践教科書。 コロナ禍にあっても、事業計画の立…

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