(※写真はイメージです/PIXTA)

近年では、相続における遺言書の重要性が広く知られるようになりました。遺言書を作成する場合、ほとんどのケースにおいて自筆証書遺言もしくは公正証書遺言が選択肢になりますが、それぞれ特徴やメリット・デメリットがあるため、注意が必要です。ここでは、多数の相続問題の解決の実績を持つ司法書士の近藤崇氏が、それぞれの比較のほか、自筆証書遺言を中心にわかりやすく解説します。

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「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の特徴

●自筆証書遺言

自筆証書遺言は、全文を手書きで作成する必要があります。令和2年の法改正(平成30年7月6日「法務局における遺言書の保管等に関する法律」、以下「保管法」)が成立し(2020年7月10日施)、財産目録については、コピーやパソコンでの作成が認められるようになりました。一方、本文については従前どおり自筆が原則であり、代筆も不可能です。

 

●公正証書遺言

公正証書遺言は、公証人に対し、遺言者が遺言の内容をあらかじめ伝えて作成してもらいます。遺言を書く人自身が遺言の文案を作成する必要はありません。遺言者本人でなく、公証人が読み上げる形で遺言の作成を行います。しかし、無関係な証人2人以上の立会が必要です。民法第974条では、遺言の証人になれない欠格事由を、例示であげています。逆に下記の方以外は遺言の証人になることも可能といえます(例えば被保佐人などの制限行為能力者、障害を持つ方など)。

 

民法第974条(証人及び立会人の欠格事由)

次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。

一 未成年者

二 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族

三 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

自筆証書遺言のメリットとデメリット

​自筆証書遺言と公正証書遺言の違いはなんでしょうか。それぞれのメリット・デメリットについて見ていきましょう。

 

自筆証書遺言のメリット

自筆証書遺言のメリットの例として、以下のような点が挙げられます。

 

●いつでもどこでも手軽に作成できる

●費用の負担が少ない

●作り直しをする場合も手間がかからない

●誰にも遺言を作成したことを言う必要がない

 

公正証書遺言のように公証役場に行く必要もありません。また法務局で保管すれば検認の手続きが不要になりますし、偽造や紛失の恐れもありません。

 

法務局ウェブサイト:自筆証書遺言書保管制度について

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

 

自筆証書遺言のデメリット

自筆証書遺言にはメリットがある反面、以下のようなデメリットがあります。

 

●そもそも死後に遺言を発見されない可能性がある

●形式不備により遺言が無効になる可能性がある

●偽造・変造・紛失の可能性がある

●法務局で保管する場合を除き、検認の手続きが必要になる(相続を証する戸籍をすべて集める必要があります)

 

次回は、公正証書遺言のメリット・デメリットについて解説します。

 

 

近藤 崇
司法書士法人近藤事務所 代表司法書士

 

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本記事は、司法書士法人 近藤事務所が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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