(※写真はイメージです/PIXTA)

相続における遺言書の重要性は広く知られてきましたが、自筆証書遺言として残すのか、それとも公正証書遺言を作成するのか、それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解していないと、希望通りの結果が得られない可能性があり、注意が必要です。ここでは、多数の相続問題の解決の実績を持つ司法書士の近藤崇氏が、公正証書遺言を中心にわかりやすく解説します。

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公正証書遺言のメリットとデメリット

前回の記事「自筆証書遺言と公正証書遺言はどこが違う?」では、自筆証書遺言のメリットとデメリットを中心に解説しました。ここでは、公正証書遺言について見ていきます。

 

公正証書遺言のメリット

公正証書遺言のメリットの例として、以下のような点が挙げられます。

 

●偽造・紛失のリスクが皆無(紛失の場合でも再発行可能)

●検認が不要であり、遺言者の死後すぐに不動産登記などの実務に移れる

●形式不備により無効になる可能性が極めて少ない

●作成当時の意思能力についても公証人や証人など、最低3名が関係するので、後日のトラブルを避けやすい

●病気や障害などで文字を書けない場合でも作成可能

 

公正証書遺言のデメリット

公正証書遺言にはメリットがある反面、以下のようなデメリットがあります。

 

●法定の費用がかかる

●作成に手間がかかる

 

日本公証人連合会:手数料について

Q7.公正証書遺言を作成する場合の手数料は、どれくらい掛かるのですか。

(https://www.koshonin.gr.jp/business/b01/q01_3_007)

相続トラブル回避には、絶対「公正証書遺言」がいい

公正証書遺言は、どうしても作成のための準備、そして費用が必要になります。ただし、相続開始後の相続トラブル回避については、絶対に公正証書遺言が優れています。

 

自筆証書遺言の保管制度では、遺言書の形式に不備がないかを確認してもらえます。しかし、審査はあくまで形式面のみで、遺言の内容が適切かどうか法務局は関与しません。

 

また、遺言書作成時の遺言者の意思能力に問題がないかどうかも保証してもらえるわけではありません。

 

一方で、公正証書遺言の場合には、少なくとも公証人が法的に適切な文言かどうか、要件を満たしてくれているのかどうか、これを勘案して遺言書を作成してくれます。

 

もちろん、すべてが完全かというとそうではありませんが、自筆証書遺言に比べ、相続トラブルを回避しやすい点が公正証書遺言の大きな特徴です。


 

近藤 崇
司法書士法人近藤事務所 代表司法書士

 

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本記事は、司法書士法人 近藤事務所が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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