すべての取引先を記載する「顧客台帳」
■取引先を管理
顧客台帳は、取引先を管理していくものであり、具体的には、取引先の売上規模や社員数などの取引先情報、そして、取引先評価、訪問交渉記録などを記載します。
下記の顧客アプローチリストは、会社が各営業担当者の進捗を一元管理するもの。別の用途で使用するので混同しないようにしてください。
この顧客台帳で、取引先の状況がわかるとともに、取引先と自社との取引内容もすべてわかります。
また、顧客台帳には、次のようなメリットがあります。
①取引先の全容がわかるので、取引方針を容易に設定できます。
②取引先の財務力などがわかるため与信管理に利用できます。
③取引先との時系列の交渉経緯がわかるため、自社の営業担当や上司が変更になっても今までの経緯がきちんと把握できスムーズな引き継ぎができます。
④取引先のニーズが把握できますので、ニーズに応じた対応を迅速かつ、きめ細かくできます。
■顧客台帳の構成
顧客台帳では、取引先情報として、売上高、販売先、仕入先などの企業の業務の取組内容を記載します。次に、取引先評価として、品質、コスト、納期、財務力などの取引先の評価を記載します。さらに、訪問交渉記録として、取引先とどのように取引していくかの取組方針を決め、その方針に従って訪問計画を作成して、訪問した状況を記載していきます。取引先の状況により、必要な情報は適宜追加します。
■顧客台帳の活用方法
営業面では、取引先の会社の状況がわかりますので、そうした情報をもとに製品などの取引内容を打ち合わせていくことができます。
また、営業上の製品取引などでは、一般的に与信を設定します。こうしたときに、過去の取引量や財務力をもとに評価していきます。さらに毎年度、取引方針を決め、その方針に従って訪問していきますが、商談状況を把握して、取引の強化を図っていきます。
取引先を把握することで、交渉優位となる。
具体的行動
取引先の台帳を作成し、取引先情報などを記録し取引先を管理していこう。
取引先と営業進捗状況を一元管理
■顧客アプローチリストのメリット
顧客アプローチリストは、会社が各営業担当者の契約に向けての進捗状況を一元管理するための表です。
顧客アプローチリストには、次のようなメリットがあります。
①すべての個別案件について取組方針のもとにどの程度まで営業が進んでいるかといった進捗状況が一目でわかります。
②営業推進上で問題点がある場合は、社長や営業責任者を交えて対策を講じることができます。
③営業案件に対して、社長や営業責任者など関連する者がすべて情報共有して、推進していくことができます。
■顧客アプローチリストの構成
顧客アプローチリストの基本的な内容は、次のようになります。
①担当者→営業担当者名
②取引先→営業先名
③取組方針→どのように営業していくか
④訪問条件→月に何回訪問するのか
⑤取引経緯→営業するに至った経緯
⑥取引金額→どの程度の取引をしていくか
⑦先方担当者→営業先の責任者
⑧直近交渉日→直近ではいつ訪問したか
⑨交渉状況→現在営業活動はどの程度進んでいるのか
⑩課題→交渉していて今何が課題になっているか
⑪成約率→成約になる確率は何パーセントか
■顧客アプローチリストの活用法
営業担当者は、個別案件ごとに行動していますが、会社あるいは上司が管理していくうえで、営業先全体の表がないと営業部門全体でどのように進んでいるのかが見えません。このため、この顧客アプローチリストを作成することにより、取引先ごとに営業の推進状況を把握するとともに、会社全体としての目標達成度も把握します。
宮内 健次
中小企業診断士 社会保険労務士