長男家族が住む家のリフォーム費用を負担しようとすると、預金が減ってしまうため、他の子どもたちから不満が出る可能性があります。本記事では、相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が事例をまじえて、できる対策について詳しく解説します。
4階建ての自宅に1人暮らし
益代さん(74歳女性)は、4階建ての自宅に1人暮らしをしています。子供は3人で、嫁いだ長女と独身の次女、孫がいる長男で、3人とも家を買うときに住宅取得資金として援助してきました。
自宅の1、2階は法人に賃貸しており、毎月入る家賃で生活できています。自宅は3、4階で3LDKあるので1人暮らしには広すぎ、長男家族と同居するには部屋数が足りません。
独身の次女は益代さんと同居しておけばよかったものの、1人暮らしをしたいということで、自分でマンションを買い、借入れした分はローンを払っています。
リフォームして長男家族が住みたい
益代さんは70代でまだ元気ですが、それでも3階まで階段で上がるのが少々大変になってきました。そして1人暮らしには広すぎることもあり、長男家族が住んでもいいと言ってきました。その場合、益代さんは現在長男が住むマンションに住む予定です。長男の妻も二つ返事で「お義母さんが住んでいた家に住めるなんてうれしいです!」と乗り気で、益代さんは「感謝しかない」とうれしそうです。
長男家族が住むには内装のリフォームが必要となり、見積もりを取ると2,000万円ほどかかるといいます。誰がリフォーム代を出すのが良いのか? と相談に来られました。
土地は長男名義
10年前、夫が亡くなったときに自宅の土地は長男名義になっています。建物はテナントの賃料を受け取るために益代さん名義にしたといいます。
いずれは建物も長男に相続させる気持ちでいますが、現在は益代さん名義なので、リフォーム代は益代さんが自分の費用で出すことが筋です。しかし、長男はリフォーム費用を出してもいいと言っています。どちらがいいでしょう? というのが益代さんのご相談でした。
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。
著書65冊累計58万部、TV・ラジオ出演127回、新聞・雑誌掲載810回、セミナー登壇578回を数える。著書に、『図解でわかる 相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル 改訂新版』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『図解90分でわかる!相続実務士が解決!財産を減らさない相続対策』(クロスメディア・パブリッシング)、『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2021年版 (別冊ESSE) 』(扶桑社)など多数。
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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