(※写真はイメージです/PIXTA)

リーダーが問題解決策を考え、正しい指示を出すマネジメントはもはや限界を迎えています。チームパフォーマンスを発揮するにはメンバーの主体性を高めるマネジメントが必要不可欠ですが、単に指示を出すだけではメンバーの主体性は高まりません。これからのチームマネジメントにおいて重要なのは、チームメンバーの「力を活かす」ということ。今、チームリーダーが取るべき行動を見ていきましょう。

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メンバーの力を引き出す第一歩は「目的の共有」だが…

メンバーの力を引き出すマネジメントが実現されると、メンバーが主体的に行動する「自律型のチーム」が出来上がります。これはメンバー同士がよく相談し合い、遠慮せずに意見を交わしノウハウを積極的に共有し、切磋琢磨しているチームに生まれ変わるということです。

 

その際に決定的に重要なことはチームの目的を明確にし、それを共有することです。これが口でいうほど簡単なことではありません。

 

例えばシステム開発のプロジェクトでは、いつの間にか当初の目的が忘れ去られ、どうでもいいような機能の追加にコストと時間がかかり、結局誰にも使われないシステムができていたということがよくあります。このような状況を「手段の目的化」といいます。手段の実現がいつの間にか目的になってしまい当初の目的から外れてしまうのです。これは会社でも日常生活でも起こりがちなことです。

 

例えば一生自分の歯で食事をするという決意をしたとします。これが目的に当たります。それを達成するために今年目指すこととして、1年間虫歯ゼロという目標を立てました。そのための手段を考えたところ1日3回最低5分間歯を磨けばいいのではと思いつきました。

 

結局、1日3回5分間の歯磨きが習慣になり、それを死守することが一番の重要事項になりました。実は3ヵ月後にムシ歯が見つかったのにやり方を変えずに引き続き1日3回5分間、歯を磨き続けるといったことになったりします。こうなるともう一生自分の歯で食事するという当初の目的は忘れてしまったも同然です。

 

このように目的を見失って手段だけが残ることが多いのです。実際、あるチームに途中から入ってきた人が「なんのためにこのイベントをやっているのですか? 失礼ですが意味があるように思えないのですが…」と尋ねたら、ほかのメンバーが「私もよく分からないのですが、ずっと続いているので誰もやめようと言い出さないのです」と答えるといった笑い話ができるほどです。

次ページ目的を共有して初めて「一つのチーム」として成立

※本連載は、橋本竜也氏の著書『チームパフォーマンスの科学』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

TEAM PERFORMANCE チームパフォーマンスの科学

TEAM PERFORMANCE チームパフォーマンスの科学

橋本 竜也

幻冬舎メディアコンサルティング

「科学的アプローチ」でチームパフォーマンスを客観的に評価する! 一人ひとりの社員は優秀なのに、チームパフォーマンスが上がらない…。そんな悩みを抱える管理職・リーダー層に向けた、待望の一冊。 マネジメントにお…

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