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飲食店経営と株式投資で、億単位の財産を作った伯父
今回のご相談者は、千葉県在住の会社員の遠藤さんです。高齢となった養父の相続対策について相談したいとのことでした。遠藤さんの養父である功さんは80代で、遠藤さんの父親の兄、つまり遠藤さんの伯父にあたります。
功さんは若いときからずっと飲食業界で仕事をしており、30代からは自分で複数の店を経営していました。10年前に妻に先立たれたあとは、計画的に規模を縮小し、最終的に1店舗にまで数を絞りましたが、コロナ禍で世の中が混乱する前に最後の店も閉めており、本当にタイミングがよかったと、親族みんなが感心したということです。また、功さんは株が趣味で、そちらでもなかなかの結果を出しています。
子どものない功さんは、財産の承継のため、また、妻を亡くして老後が寂しからという理由で、甥の遠藤さんと、実弟の遠藤さんの父親と養子縁組をしました。
仕事を引退後、働きづめだった功さんは、広い自宅で庭の手入れをするなど、悠々自適の毎日を送っていましたが、次第に判断力の衰えが見えてきました。そのため、数ヵ月前から高齢者施設に入所しています。
そんなある日、遠藤さんの元へ施設の担当者から連絡がありました。「そろそろ成年後見人をつけたほうがいいのでは」とアドバイスされたのです。そのこともあり、今後の相続を見据えて相談できる先を探し、筆者の事務所を訪れたということでした。
相続人は2人だけ、資産の大半は現預金
筆者が功さんの財産の総額を計算したところ、およそ3億円でした。法定相続人となるのは、養子となった遠藤さんと遠藤さんの父親の2人だけです。
筆者が注目したのは、功さんの金融財産でした。不動産として敷地の広い自宅がありますが、資産に占める割合は低く、2億5000万円以上が金融資産です。この状態では、相続税も相当な高額となってしまいます。
しかし、一定の要件を満たした不動産であれば、特例措置により相続税の課税額を圧縮できます。筆者は、手持ちの金融資産で不動産を購入することを提案しました。
お勧めしたのは、収益用のアパートもしくはマンションです。家賃収入が得られるだけでなく、土地が「貸家建付地」の扱いとなることで、評価額を下げられます。物件を購入するエリアは、東京都内や大阪府などの人口の下落率が少ないところが理想です。
「自宅敷地に広いスペースがあるのですが、そこではダメでしょうか?」
筆者の提案を聞いた遠藤さんから、そのような質問がありましたが、残念ながら難しいといえます。貸家建付地の評価減は実現できても、伯父の自宅があるエリアは賃貸住宅向けでないため、空室リスクが懸念されるからです。
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