たくさんの失敗を繰り返しながら成功体験を積み重ねることで、人は多くを学ぶといいます。

新商品を仕入れてどれだけ大きな失敗をしても、必ず次の挑戦を促すといいます。打席に立たなければ、打率は上がらないからです。たくさんの失敗を繰り返しながら成功体験を積み重ねることで、人は多くを学びます。飯田屋6代目店主が社員の新しい商品の仕入れの失敗と成功を著書『浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟』(プレジデント社)で明かします。

「挑戦をやめない」が飯田屋の当たり前の文化に

鈴木克明は、センターエッグトリプルパンという三つに仕切られたフライパンを仕入れました。おもちゃのようでそれまで仕入れなかった商品ですが、お弁当をつくるお母さんたちに大評判を呼びました。

 

ヒントノートには「お弁当をもっと効率よくつくれるような道具が欲しい」「忙しい朝に洗い物を減らせる道具」など悩みはあったものの、具体的に欲しい道具が書かれていたわけではありません。

 

しかし、鈴木はその意図を上手に読み解き、この商品にたどり着きました。自分用に買ったお客様が「使ってあまりにも便利だったので友だちにもあげたい」と再度ご購入に来店されたこともあるほどでした。

 

杉山研二は、重ね合わせて収納できるステンレス製の口付き小型ボールを仕入れました。強化ガラス製の小型ボールはどこにでもありますが、割れないステンレス製のものを求める声があり、しかも液だれしない口付きのものが欲しいというのです。

 

これまで、要望にぴったり合うものが見つからずにいたのですが、あるとき杉山が展示会で見つけてきました。これが爆発的に売れ、プロの料理人からも一般家庭の方からも喜ばれています。

 

飯田屋では、どれだけ売れ筋商品を仕入れたとしても、それだけで評価をすることはありません。それよりも、どれだけ新しいことに挑戦しているかを評価します。

 

まず挑戦への打席に立ったことを褒め、うまくいかなったとしてもその原因を十分に考えてもらいます。そして、挑戦し続けることの大切さを口を酸っぱくして言い続けています。

 

その甲斐あって、今では挑戦し続けることが当たり前の文化となりました。おそらく、僕がいなくなっても飯田屋は挑戦をやめないでしょう。

 

■かわいい社員には「旅」をさせろ

 

「かっぱ橋には遠くて行けないよ」

 

お客様のそんな声にお応えして、2017年から「旅する料理道具屋」と名づけた出張販売を始めました。

 

きっかけは、長野県塩尻市の山田崇さんとの出会いでした。彼は世界的講演会として有名な「TEDカンファレンス」にも出演された、元ナンパ師で作家。「日本一おかしな公務員」とも呼ばれ、公務員なら知らない人はいないほど有名な方です。

 

彼は地元のシャッター商店街の活気を取り戻すために、空き家を借りてさまざまなイベントを催していました。その一つであるワンデイショップに参加することになったのです。

 

いつか出張販売ができたらいいと漠然と考えていたものの、どこでやろうか、どうやってやろうかといった具体的なプランはありませんでした。たまたま勉強会で知り合った山田さんに相談したところ、「それおもしろいですね、うちでやりましょう。で、いつやります?」と2秒で開催が決定。とてもありがたい話でした。

 

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※本連載は飯田結太氏の著書『浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟』(プレジデント社)を抜粋し、再編集したものです。

浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟

浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟

飯田 結太

プレジデント社

効率度外視の「売らない」経営が廃業寸前の老舗を人気店に変えた。 ノルマなし。売上目標なし。営業方針はまさかの「売るな」──型破りの経営で店舗の売上は急拡大、ECサイトもアマゾンをしのぐ販売数を達成。 廃業の危機に…

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