やりたいことより、やらないことを決めると商売は繁盛するという。

時間は有限です。これまでを振り返ると、3つのやらないことを決めたことが飯田屋に繁盛と、互いが助けあう職場環境をもたらしました。一つひとつの商いを大切にするために「やらないこと」と決めることは、「やること」を決める以上に大切だといいます。飯田屋6代目店主が著書『浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟』(プレジデント社)で解説します。

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「やらない」ことを決めると繁盛する理由

■やりたいことよりもやらないこと

 

一つは、料理道具以外の品揃え。
二つは、価格競争。
三つは、売上目標やノルマ。

 

店を経営しているとやりたいことはいくらでもあります。しかし、時間は有限です。振り返ると、これら三つのやらないことの決断が飯田屋に繁盛と、互いが助けあう職場環境をもたらしました。

 

一つ目の「料理道具以外の品揃え」をやめた理由は、客観的な視点で見たときに何を扱う専門店なのかわからなくなるからです。

 

「何を買っていいのかわからない」
「欲しいものが何もない」

 

こんなお客様の声ばかりが聞こえてきました。

 

初めは「こんなにもたくさんの商品が揃っているのに!? 何もないわけがない!」

 

と、今思えば自分勝手な憤りをおぼえてばかりでした。しかし、なんでも揃っているからこそ、欲しいものが見つからないことがあります。

 

わかりやすさは、人を惹きつける絶大な力を持っています。専門店の強みは、一瞬でお客様に伝えられるわかりやすさにあります。

 

一にわかりやすさ、二にわかりやすさ、三にもわかりやすさが大切です。極端なくらいに表現して、初めて人は「△△の専門店なのね」と認識してくれます。

 

飯田屋では、料理道具以外は取り扱わないと強い意志表明をしています。あれもこれもと欲張れば、日々の小さな売上をつくれるかもしれません。けれど、そこはぐっと耐えて「料理道具の専門店です」と胸を張って言いきれるわかりやすさを大切にしました。

 

二つ目の「価格競争」をやめた理由は、かつてはレジ前がいつもお客様との戦いの場になっていたからです。

 

金額で他社を出し抜いて取引が成立した場合、そのお客様の顔には決まって笑顔がありませんでした。価格で呼び込んだお客様とは、数字のお付き合いしかできません。

 

もっと笑顔あふれる商売をしたいと考えたとき、価格競争からの離脱は必然でした。どんなお客様にも一切の値引きをしません。親族であっても友人であっても、恩人であっても例外はありません。

 

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※本連載は飯田結太氏の著書『浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟』(プレジデント社)を抜粋し、再編集したものです。

浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟

浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟

飯田 結太

プレジデント社

効率度外視の「売らない」経営が廃業寸前の老舗を人気店に変えた。 ノルマなし。売上目標なし。営業方針はまさかの「売るな」──型破りの経営で店舗の売上は急拡大、ECサイトもアマゾンをしのぐ販売数を達成。 廃業の危機に…

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