「社長がいないと会社が潰れる」この考えが間違っている理由 店が小さいので置ける品数は限られるというが…。

産休・育休制度で社長が1カ月休み。しかも決算月。結果は売上が前年同月よりも大幅に上がりました。そのとき、社長が店の中心にいるのではなく、従業員たちと一緒にこの店を守っているのだと確信しましたといいます。飯田屋6代目店主が著書『浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟』(プレジデント社)で解説します。

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顕彰式典に社員全員を出席させたワケ

■零細企業初の快挙で変わったこと

 

「僕がいないと、会社はすぐに潰れてしまう」という思い込みもやめました。

 

2018年の「勇気ある経営大賞」優秀賞受賞により、メディアからの評価が変わったことは話しました。実は、変わったのはそればかりではありません。

 

顕彰式典には経営者と役員を含む3人が呼ばれましたが、従業員全員で出席させてほしいと僕は食い下がりました。苦しいときはみんな一緒なのに、おいしいところは幹部だけという違和感があったからです。

 

勇気ある経営は、僕だからできたわけではありません。本当に勇気を持って仕事に取り組んでくれたのは従業員たちです。「勇気ある経営大賞」ではなく、「勇気ある従業員大賞」として、彼らを顕彰式典に絶対に連れていかなければならないと思いました。

 

「経営陣が無茶苦茶だから」と容易に会社を辞めてしまう今の時代に、飯田屋の従業員たちはいつもいきなり飛び出してくる僕の無茶苦茶なアイデアを受け入れ、僕を信じてついてきてくれました。ものすごく勇気がいる行為です。

 

そもそも、この賞に応募した理由は、飯田屋という店がより多くの人に認知され、働く従業員たちに誇りを持ってもらいたかったからです。こんなに素晴らしい従業員がいることを、世の中に知ってもらいたかったからです。

 

結果的に全員の参加が認められ、店を一日臨時休業させていただきました。賞の長い歴史の中でも社員が10人以下の小さな会社が受賞したのは数例しかない珍しさに加えて、店を休業してまでの参加は初めてだとたいへん驚かれました。

 

この受賞をきっかけに、飯田屋はさらに勇気ある挑戦に取り組めるようになりました。ご来店くださるお客様をがっかりさせたくないという気持ちが強くなり、仕入れ状況を細かくチェックし、いつでも最良の提案ができる体制が整えられました。商品へのアンテナも高く張られ、使い心地や特長を見極める目も厳しくなったのです。

 

従業員たちは一人ひとりがいい仕、事、をするだけでなく、お互いが助けあっていい会社にしようと働きかけてくれるようになりました。飯田屋は僕の会社ではなく、中心にいるのはいつでもここで働く従業員たちだと感じさせられます。

 

「僕がいないと、会社はすぐに潰れてしまうのではないか?」

 

そんな思い込みに囚われ、びくびくとしていたこともありました。それははなはだしい勘違いだったのです。

 

福利厚生として設けた産休・育休制度を利用して、僕自身が1カ月休んだときのことです。しかも、それは決算月。さすがに混乱するのではないかと不安でした。

 

それがなんと、売上が前年同月よりも大幅に上がったのです。そのとき、僕が店の中心にいるのではなく、従業員たちと一緒にこの店を守っているのだと確信しました。

 

今ではみんなが、個人プレーよりもチームプレーを大事に考え、個人の能力では計り知れない力を発揮してくれています。

 

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株式会社飯田代表取締役社長

大正元年(1912年)に東京・かっぱ橋で創業の老舗料理道具専門店「飯田屋」6代目。料理道具をこよなく愛する料理道具の申し子。TBS「マツコの知らない世界」やNHK「あさイチ」、日本テレビ「ヒルナンデス!」など多数のメディアで道具を伝える料理道具の伝道師としても活躍。自身が仕入れを行う道具は必ず前もって使ってみるという絶対的なポリシーを持ち、日々世界中の料理人を喜ばせるために活動している。監修書に『人生が変わる料理道具』(枻出版社)。2018年、東京商工会議所「第16回 勇気ある経営大賞」優秀賞受賞。

著者紹介

連載浅草かっぱ橋商店街で営業方針は「売るな」で大繁盛

※本連載は飯田結太氏の著書『浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟』(プレジデント社)を抜粋し、再編集したものです。

浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟

浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟

飯田 結太

プレジデント社

効率度外視の「売らない」経営が廃業寸前の老舗を人気店に変えた。 ノルマなし。売上目標なし。営業方針はまさかの「売るな」──型破りの経営で店舗の売上は急拡大、ECサイトもアマゾンをしのぐ販売数を達成。 廃業の危機に…

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