(※写真はイメージです/PIXTA)

投資を経験したことがない方、初心者の方が、「利回り」という言葉の意味や算出方法について、疑問を感じているケースは少なくありません。しかし、利回りについて理解しないまま投資を始めてしまうと、大きな損失を生む可能性が高まるため、事前に知識を身に付けておく必要があるでしょう。本記事では、不動産投資における「利回り」について、解説していきます。

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投資における「表面利回り」と「実質利回り」の違い

投資の世界において「利回り」とは、投資した金額に対して得られる収益の割合のことをいいます。この収益には、投資商品を売却した場合に得られる「売却損益」も含まれています。また、1年間の「年利回り」のことを、「利回り」と呼ぶことが一般的です。

 

ただし投資の種類によって、この「利回り」の算出方法や考え方には若干の違いがあるのです。

 

不動産投資の場合、表面利回り(グロス利回り)と実質利回り(ネット利回り)の2種類の違いを抑えておく必要があるでしょう。

 

表面利回りは、物件の大まかな収益力を捉えるために使われる指標です。満室で1年間家賃収入を得られた場合、という想定での算出になります。たとえば下記物件における表面利回りはどうなるのでしょうか。

 

【沿線交通】東高円寺駅から徒歩10分程度
【販売価格(諸経費込)】1億1,000万円
【想定利回り】7.6%
【建物構造】木造
【築年数】4年
【戸数】10戸(購入時8戸が埋まっており、契約更新時期が近い入居者が2組)
【家賃設定】7万円

 

表面利回りは、下記の計算式で算出方法することができます。

 

表面利回り(%)=年間収入÷購入金額×100

840万円 ÷ 1億1,000万円×100=7.63…

※小数第4位以下切り捨て

本ケースの表面利回りは7.63%

 

表面利回りというのは、あくまで1年を通じて満室だった場合の想定値であり、諸経費などは考慮されていません。いい換えれば、その物件がフル稼働したときの想定売り上げ、という意味合いになってきます。

WEBサイトや広告などに表記される利回り=表面利回り

一方、実質利回りは、満室状態であった場合での算出という点では表面利回りと同じですが、諸経費を差引してあるため、表面利回りと比較すると、より正確な収益力を判断する材料となるでしょう。

 

ここで大切なことは、年間諸費用には何が含まれているのか、ということ。一般的には、管理費、修繕積立金、原状回復費、修繕費、光熱費などが含まれます。

例)

【諸経費…9万5,000円/月】

 

(内訳)

共用部分の光熱費:5,000円
定期清掃費:5,000円
管理会社への管理利用:49,000円/月(家賃の7%×10室で計上)
修繕費の積立:35,000円/月(約5年ごとに100~300万円の費用が掛かる想定)
火災保険:1,000円/月(水災補償なし)
原状回復費…10万円(退去者2人分で計上)
不動産会社への広告料…14万円(入居者2人分で計上)

 

計:138万円/年

 

実質利回りは、下記の計算式で算出方法することができます。

実質利回り(%)=(年間収入 – 年間諸費用)÷購入金額×100

こちらに先ほどの数字を当てはめると、次のようになります。

 

[840万円 – 138万円]÷[1億1,000万円]×100=6.38…

※小数第4位以下切り捨て

→本ケースの実質利回りは6.38%

 

ここまで解説したのは、あくまで1年を通じて満室だった場合の想定です。実際に不動産投資を行う際には、空室がある場合も考慮する必要があります。満室である場合で算出された表面利回りに対して、その物件の現在の入居率がどのような状態なのかを考慮したものを、「実質利回り」といいます。

 

そして、WEBサイトや広告などにある「利回り」は、基本的に「表面利回り」です。

 

つまり、WEB上や広告上では高い「利回り」が表示されていても、実際には空室だらけで、そのような収益を得られない物件である可能性があるため、注意が必要なのです。

 

では、何を信じて物件の査定をすべきなのでしょうか。

 

次ページ「利回りが高い物件」を選べば成功できるのか

本記事は『アパート経営オンライン』内記事を一部抜粋、再編集したものです。

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