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不動産投資における「自己資金」とは?
本記事を読まれている方のなかには、自己資金=頭金と思われている方は多いのではないでしょうか。しかし、近年において、自己資金とは、頭金と初期費用を指す、というのが一般的です。
そもそも「頭金」は、分割払いなどで最初に支払うある程度のまとまった金銭のことを指します。たとえば2億円のローンで、頭金に預貯金の3000万円をあてた場合、最初に3000万円を支払い、残りの1億7000万円をローンを組んで返済することになるのです。
そして「初期費用」は、不動産売買の際に発生する諸費用を指します。物件の購入時にかかる諸経費・税金がこれに該当し、物件の購入費用とは別に支払う必要が出てくるのです。仲介手数料、不動産登記費用、登録免許税、ローンの事務手数料、火災保険料、固定資産税、不動産所得税、印紙税の8つがこれに該当します。
つまり、自己資金=頭金という考え方で不動産投資に臨んだ場合、想定外の費用が発生することになるのです。一般的には頭金が物件価格の20%、初期費用が3%程度というのが相場なので、諸経費込みで2億円の中古アパートを購入した場合、必要な初期費用は600万円になります。
想定しない費用が掛かってしまった場合、ローンの返済計画に大きな影響が出ることも想定されます。よって、自己資金とは頭金と初期費用をセットとして捉えるという考え方が主流になっているのです。
「初期費用」と「頭金」の価格相場はどのくらいなのか
一般的に、自己資金として準備する額面は20%程度が主流となっています。たとえば2億円の中古アパート(諸経費込み)を購入する場合、4000万円ほど用意しておく必要がある、ということになります。
頭金は20%程度が相場と解説しましたが、自己資金は、余裕があるほうがより得られるメリットが大きいものです。頭金として20%の4000万円のみを用意できたとしても、余力がない場合、金融機関のローン審査が通らないケースもあります。
逆に自己資金が多ければ、金融機関は「金融資産あり」という評価を下すことになりますし、担保を取得する金融機関にとっては、融資金の担保によるカバー率が高まることから、ローン審査が通りやすくなる可能性が高まるのです。
自己資金ゼロ=費用のすべてをローンで賄うということ
近年、自己資金がゼロでも始められる不動産投資、というフレーズをよく見かけます。「手元に余力がなくても始められるなら……」と好意的に受け止めてしまう方もいるかもしれませんが、実際はそのようなことはなりません。
自己資金がゼロということは、その物件に関する費用のすべてをローンで賄うということです。ここで注意すべきは、物件価格のローンと諸費用のローンとは別だという点でしょう。諸費用のローンは、対応されない場合が多く、対応したとしても金利が高いケースが多いのです。そのため、融資額にも影響が出てしまい、購入したい物件への融資が不可となる可能性も出てきます。
頭金や諸費用をかけずに投資をするという手法はありますが、このようなデメリットが潜んでいることを忘れてはいけません。
2019年3月に公表された金融庁の「投資不動産向け融資に関するアンケート調査結果」によれば、約1/3以上の顧客に頭金を求める金融機関の割合は、銀行で88%、信金・信組では67%とかなり高いデータが出ています。また、銀行の15%、信金・信組の17%では必ず頭金を必要としています。
こうしたことからも、自身が納得できる物件を購入するためには、ある程度の自己資金は必要になってくる、といえるでしょう。
ローン申し込みをする前にチェックすべきポイント
自己資金を投下することは、投下した自己資金を、アパート経営における利回りで運用することを意味します。よって、「自己資金ゼロ」で不動産投資を始めること、つまり不動産購入費用の多くを銀行ローンに頼ることは、一見お得なように感じるかもしれませんが、実はそうではないのです。
今後ローン利用を検討している方は、まず、今後のリスク(変動)に備えるだけの現金は手元に残したうえで、購入総額の何%投下することができるか、考えてみてください。目安は購入総額の20%以上です。
ローン申し込み前にチェックすべきポイントは他にもあります。
ローンの安全性を示す指針のひとつ、DSCR(債務返済倍率)です。数値が大きくなるほど、安全性が高まります。DSCRの計算方法は、下記の通りです。
もし、この数値が1倍を超えなければ、得られた利益ではローンを返済することができない、ということを意味します。最低でも1.2倍以上になっているか、事前に調べておきましょう。
自身がどの程度の自己資金を用意できるのかを把握し、納得できる物件を探してみてください。
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